モーニングスター・チルドレンズホームの子どもたち tsuna27 2023s
モーニングスター・チルドレンズホームの子どもたち
文・高橋百合香
2022年12月24日、3年ぶりにネパールに向かうため出国しました。待ちに待った子どもたちとの再会です。子ども時代の3年間は、その年代でしか経験したり感じられないことがたくさんつまった貴重な時間です。1年1年の経験が成長につながり、人生の糧になります。ドキドキしながら、ネパールに向かいました。
到着翌日、私たちが30年間支援を続けてきた養護施設、モーニングスター・チルドレンズホームの子どもたちがお世話になっているソマン・アカデミーに向かいました。
2020年2月、モーニングスター・チルドレンズホームの元理事長で子どもたちの面倒を親身になってみられていたラム・チャンドラさん(以下ラムさん)が急逝されました。驚きと悲しみで、遺された子どもたちの元にすぐにでも駆け付けたかったのですが、新型コロナウィルス感染拡大のためネパールがロックダウンとなり、日本も緊急事態宣言が出され、国外への移動が難しいという想像もしていなかった事態になっていきました。厳しい状況の中、ラムさんのご家族がロックダウンの合間を縫って子どもたちの世話に通いました。ホームの存続は難しく、これからどのような体制で子どもたちをみていくか話し合いを重ねました。その結果、23人の子どもたちの内、親や親せきがいる子どもは、安心して過ごせる家庭環境ではなくても家に帰さざるを得ず、行き場のない子どもたち13人は、私たちが支援してソマン・アカデミーという私立学校の宿舎に入ることになりました。また16歳を迎えた3人の女の子のうち、アシャさんとシムランさんは路上で救出され天涯孤独です。皆さまに多大なご支援を頂き、西ネパールのパルパという地域の看護学校に入ることができました。
学校に着くと、ラムさんの息子ベンジャミンさんが迎えてくれました。ラムさんの面影があり胸が熱くなりました。宿舎に案内され、待っていてくれた子どもたちとついに再会しました!涙が出そうでしたが、この3年間色々な気持ちを抱えて新しい環境で必死に生きてきた子どもたちの前で涙は流せないと思い、ぐっとこらえました。
子どもたちは背丈が伸び、3年の月日の長さを感じました。数年前の写真と見比べながら名前を確認しました。「これが僕!」と幼い頃の写真を指差し、嬉しそうに教えてくれました。10代半ばの少年たちは、久しぶりに会った私たちの前ではとてもシャイで、何を話そうかな?と、ややぎこちない感じもありましたが、帰る間際に「会えて良かった」「嬉しかった」と視線をそらしながらボソボソっとつぶやく声が聴こえました。
ネパールに行けない3年の間、完二さんが日本から細やかにフォローしていたので、日本で多くの方々が見守ってくださっていることが、きっと子どもたちの心に伝わっていたと思います。大きくなったとはいえ、まだまだ小さな身体で、あまりにもたくさんのことを背負っている子どもたち。一人ひとりが自立し、自分の道を歩めるようになるまで、私たちも見守り続けたいと思います。皆さまのご支援に心から感謝申し上げます。
後列左端がアシャさん(18歳)、右から2人目がシムランさん(18歳)。看護学校3年目、残すところ後1年となりました!非常に良い成績で頑張っているそうです。写真は、ダサインという年に1度の大きなお祭りの際に帰省したところです。子どもたちは、長期休みにはベンジャミンさんのご実家にお世話になっています。
元ハンセン病の方々が暮らすカトマンズ郊外の集落に、ネパール大地震後、食糧支援をしています。これまではラムさんが仲介してくださっていましたが、ラムさん亡き後、妻のシャラダさん、ベンジャミンさん、ホームで育ったバブラム君(20歳、赤い服着用)がサポートしてくださっています。ラムさんも喜ばれていることでしょう。
写真左からビニタさん(11才)とジャヌカさん(13歳)。二人は姉妹です。5年ほど前に父親が亡くなり、母親は再婚したため育てられないとホームに連れてこられました。母親はその後行方不明となり、ラムさんが亡くなられた後、叔母の家に帰しましたが、経済状況も厳しく育てられないと戻されました。
(つなぐつながる 2023春 vol.27より)