虹色の星座 角田真吾さん tsuna39 2026s
虹色の星座 小さな光を繋ぐ未来へ
カカオフレンズを訪ねる 連載 第22回
角田真吾さん
取材・文・写真 高橋百合香
広大な宇宙に散らばる小さい点のような星でも、線で繋いで結んでいくことで夜空に大きな星座が見えてきます。沖縄カカオプロジェクトは、インド、ネパール、沖縄、東北の生産者さんたちだけではなく、全国各地のカカオフレンズの皆さんお一人おひとりの思いや願いが結ばれて、未来の姿が描かれてゆきます。フレンズの皆さんは、どんな思いで、リサチョコレートを手にしてくださっているのでしょうか。カカオフレンズのお話を伺う連載、第22回をお届けします。
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活動の様子や私たちへの応援のお気持ちをメールで共有して下さったり、また定期便を毎月ご利用下さっていることもあり、角田真吾さんとは常にゆるやかなやりとりが続いている感覚でいつも励まされていましたが、私はお会いするのは初めて。名古屋のランドマーク的な新しいビルにある角田さんの職場でお話を伺いました。

「沖縄ではつなぐつながる等で紹介されていた方々と実際にお会いして感動しました!」と角田さん。
仲間の笑顔が人生の道しるべ
「動物や自然が大好きなんです」と目を細めて語る角田さん。多種多様な企業のITシステムを担い社会を下支えしている株式会社オージス総研で働き28年。フェアトレードに出会ったのは15年程前になるそうです。「離婚を経験した30代半ば頃、これからどう生きるか模索していました。人助けになるようなことをしたいと漠然と思っていました」〝何か〟を求めて参加した大ナゴヤ大学で〝フェアトレード〟を知って興味を持ち、フェアトレードショップ
「風〝s(ふ~ず)」を訪ねオーナーの土井ゆき子さんに出会ったことが転機となります。誘われ参加したなごや環境大学の共育講座「楽しく学ぶフェアトレード」では、利益を追求し規模を大きくするという一般企業の論理とは全く違う経済の仕組みがあることに感動しました。自身も伝える側のファシリテーターを目指したいと思い土井さんの助手を務め、講座を引き継ぐようになりました。
ネパリ・バザーロのスパイスを使用し、参加者と共にカレーを作る講座を始めたのは2019年。ネパール奥地のスパイス農家さんから都市部で加工を担うSHS、日本でパッキングしている作業所さんまで写真を交えて関わる人たちを伝えて下さっています。「私たちの元に届くまで、全ての工程で生産者視点が一貫しているので話をしていても自然につながりますし、聞いている人の心にもすっと届きます。背景を知ったら全く違うスパイスに見えてきますよね!」
地道に続けてこられた講座は好評で、2025年には瀬戸特別支援学校の先生からSDGsフェアトレード特別授業として依頼を受けました。中・高等部の生徒さんたちの世界を広げたいという先生方の強い願いと共に臨んだ当日。皆で美味しいカレーを作ることはできましたが、生徒さんがどのように感じてくれたのか分からず不安でした。しかし後日感想を読んでびっくり。新しい世界に触れた興奮が生き生きとした言葉で綴られていて、一人ひとりの可能性に感動しました。中でも、ネパリのスパイスに関わる人たちの存在や役割を伝えることは、生徒さんにとっては卒業後の進路の一つである作業所で働くことへの希望につながるんだということに気付かされたそうです。「自分も仕事を通して誰かの力になれるんだ!」という発見は、生徒さんにとってどれほどの喜びだったことかと私も嬉しくなりました。さらに「角田さんの仕事がITで95%の方が在宅でできるオンラインで仕事をしていると知りました。もしかしたら私の将来のお仕事の候補になるかもしれません」という感想にはっとし、生徒さんの人生の選択肢を広げられるようなIT講座もやってみたいという思いが芽生えました。その際は「仕事」として、会社の部署の仲間全員で行きたいと言われます。様々な経験をし、それぞれの思いを抱いて今同じ部署で働いている個性豊かな仲間たちと生徒さんとの出会いは、実現したらどんな化学変化が起こるのでしょう。楽しみですね!
角田さんに「仕事が好きなんですね」とお聞きすると「ちょっと恥ずかしいんですけど」と前置きをされて、「多分、人が好きなんですね。IT業界の仕事やフェアトレードの活動を通して出会えた人たちが好きなんだと思います」。これまでも悩んだ時、お世話になっている方たちの顔が浮かんで進む道を決めてこられたそうです。
実は取材中の会話から、とんとん拍子にカカオフレンズツアーとしての沖縄訪問が決まりました。「沖縄カカオプロジェクトを通して、たくさんの人と人の笑顔がつながっていくと思います。笑顔の輪に自分もちょこっと参加できれば幸せです。そして沖縄カカオフレンズの会員からもう一歩踏み出せるような、自分が出来ることを現地で見付けたいと思っています」と出発前にメッセージを下さいました。どんな訪問になったのでしょう?結果はカカオフレンズニュースレターでご覧ください!

インタビュー終了後、土屋春代と。今回は特別に、下記にフレンズニュースレターの該当部分をご紹介いたします。ご覧頂けましたら幸いです!
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沖縄カカオプロジェクトニュースレター vol.13 2026年1月号より
カカオフレンズツアーに参加して
角田真吾
カカオフレンズには第1期から応募している角田です。仕事が忙しく、ツアーに参加することは夢のまた夢と思っていました。今回、思いきって参加して、沖縄島・屋我地島・伊江島・久米島を訪問できて本当によかったです。
百聞は一見にしかず
①カカオ農園は4つ(喜納さん夫婦、阿嘉さん、仲地さん、山川さん)訪問しました。どのカカオも大切に育てられていました。一方、カカオは繊細で育てるプレッシャーも想像以上に感じました。「頑張ってください」と簡単に発することはできないと思いました。
②カカオの花は写真の印象より遥かに小さかったです。
③久米島は那覇から飛行機で30分(名護より近い!)。
④球美の里では保養に訪れた子供達からの感謝の絵・メッセージが館内の壁一面に壮観なぐらい貼られていて、球美の里が果たしてきた役割の大切さを体感できました。
⑤TATAMI CHOCOLATERIE KUMEJIMAの酒井さんのお店にお邪魔しました。朝7時から賑わっていて、島の人達から愛されているのを感じました。
⑥陸軍病院南風原壕で資料館にある洞窟のレプリカでも「こんなところが病院に」と驚きましたが、実物の壮絶さは次元が違っていました。
⑦愛楽園でハンセン病の方が掘られた防空壕に入る機会がありました。こんな硬い地盤を掘るのに要した労力と時間を思うと気が遠くなりました。
⑧辺野古の反対運動は街から距離のある場所で朝早くから活動されていて、屋外かつ長時間は忍耐と体力が必要に思いました。
初めて知ったこと
ツアー前に奥間さんのDVDで予習しました。普段は物腰柔らかに話される奥間さんが慰霊の日の追悼式で首相に叫ぶシーンがあり、他のシーンとのギャップにもやもやしていました。奥間さんにお会いしたり、伊江島、久米島を訪れて理解できた気がします。
①今年の5月に陸自が葬祭業界団体と協定を結んだこと(防衛省HPに記載あり)
②台湾有事の懸念を理由に地域医療振興協会は2026年3月に与那国島で唯一の医療機関への医師派遣事業から撤退すること。また与那国島では高齢者施設、幼稚園の閉鎖が相次いでいること。
③奥間さんが辺野古(ドローン飛行禁止区域の外)でドローンを飛ばすと20分くらいで警察が来ること。
④厚労省にはハンセン病問題の啓発のための「講師派遣事業」があるが、奥間さんがその事業の適任者ではないと厚労省が判断した理由が「戦争につながる基地の話をするから」であったこと。
⑤伊江島の面積の7割は米軍施設。土地接取が始まったのは1953年(戦後8年)からであること。
⑥戦時中に久米島で日本軍に殺された住民は20名。8月15日以降の方が半数を占める
こと。
⑦空襲の時に愛楽園では園長の判断で赤十字の旗は掲げなかったこと。
ネパリさんと輪
わびあいの里では理事長の謝花さんがネパリさんのスタッフがお掃除などで毎年訪れてくれることを感謝されていました(数時間の滞在で5回は伺いました)。球美の里の施設長のヒロさんもネパリさんが働き者でお願いリストを多めに用意しても全部片付けてしまうので驚きですと話されていました。球美の里のスタッフ森さんはお仕事の合間に「つなぐつながる」を置いてくれるお店を探されていて、ネパリさんの活動を支える根っこを見た気がしました。また、カナサ篠原さん、紅型作家山田さんからネパリさんに対する想いも伺えました。
「つなぐつながる」や「カカオフレンズレター」で拝見する方々は “テレビに出てる人”に近い感覚で感動しきりでしたが、気さくで親切な方ばかりでした。ツアーに参加して、本当の意味でカカオフレンズの一員になれた気がしましたし、「いつか」ではなく「今」参加することの大切さも実感しました。
話は変わりますが、毎年なごや環境大学でフェアトレード講座を企画しています。カカオフレンズの回を増やした形で申請して無事に採択されました。これからは情報を発信する側に回りたいです。最後になりましたが、このような素晴らしいツアーを企画して頂いた土屋春代さんありがとうございました。「在宅勤務ができるなら沖縄で仕事しながらツアーに参加したらどうですか」の一言から「いつか」が「今」に変わり、新しいスイッチが入った気がします。
角田さんにご紹介した方たちからメッセージをいただきました!
篠原孝子さんより
沖縄県名護市・カナサ店主 自然食品&惣菜、
スウィーツ、フェアトレード商品販売

私は春代さんとは、辺野古新基地建設反対運動の現場で知り合いましたが、私はこの現場で人権、政治、歴史、経済、環境、伝統文化、基地問題を学んだので、その学びの種まきと、北部やんばるのオーガニック農家さんの生産物、加工品、そしてネパリさんの商品を扱うお店がしたくて2021年4月にカナサをオープンしました。カカオフレンズになられている方は私もですが皆さんネパリ・バザーロのお仕事を信頼し、沖縄カカオプロジェクトの目的に賛同しバックアップしたい方だと思うので、角田さんにお会いした時も以前からの知人かのように気楽に話ができました。ネパリの商品の何が好きとか共通の話題があるし、お互いのことを話し聞いて楽しい時を過ごすことができました。実際にプロジェクトに関わっている方に会ったり、場所に行くことのメリットは自分の支援がこの人この場所に役立っていると感じられることと、観光ではない沖縄の歴史や問題を知ってもらえることだと思います。ハードだとも思いますが、会った方の人柄や美味しい食べもので満足してカカオフレンズを続けたいと思っていただけるんじゃないでしょうか。
|土屋春代より|篠原さんとは沖縄カカオプロジェクトを構想した2017年に出会いました。辺野古の新基地建設に反対する人々の拠点のテントがキャンプシュワブのゲート前と埋立予定の海に面した浜にあります。資料を展示したり支援者や訪問者に活動紹介をする浜のテントで篠原さんとお話をしているとネパリ・バザーロを既にご存知でお互いの沖縄への想いや活動の話ですっかり意気投合し、それ以来支え合う仲間としてとてもお世話になっています。
影山弘幸さん(ヒロさん)より
沖縄県久米島町 沖縄・球美の里施設長

角田さん、先日はご訪問ありがとうございました。また、訪問記で球美の里へのコメントもいただき重ねて感謝申し上げます。ネパリ・バザーロ土屋さんを通して各地で活躍されていて様々な経験をされているカカオフレンズの皆さまにお会い出来ます事、本当に嬉しく思っております。そして、球美の里の保養の必要性を知っていただける事は何よりもありがたいです。
原発事故から間も無く15年の月日が経とうとしてます。当時子どもだった方が親になり無我夢中で生きてきて何かモヤモヤしたものがココロの奥底に見える事があり、原発事故がもたらした不協和音は様々な形で現れています。恐怖や不信感で子どもが子どもらしく生きて来れなかった事は、大人が想像するより遥かにダメージがあると感じます。そして、それらを癒すのが保養だと考えています。
まだまだ保養が必要な被災者は大勢いて人知れず苦しんでおられます。少しでも多くの方に保養に参加していただき、自分自身や家族と向き合い、癒しの時間を作ってほしいと願っています。その為には、もっと多くの人に現実を知っていただく必要がありますので、みなさまにお力添えいただければ幸いです。どうぞ宜しくお願い致します。
|土屋春代より|久米島に保養施設・球美の里があるのを知ってカカオ栽培は久米島の方たちと取り組みたいと思いました。2017年11月に初めて球美の里に伺い、子ども達の保養の必要性を痛感し、しっかりした保養内容を知り少しでも支えになれたらと思いました。コロナ禍で保養実施が困難になったり、再開しても大人数での保養が難しくなったり、大きな状況の変化に直面しスタッフの皆さんが苦闘される様子を見てきました。本来なら政府が取り組むべき保養事業をチェルノブイリ事故のような過酷事故で、未だに原子力緊急事態宣言が解消されていないにもかかわらず健康への影響はないとして対策をとろうとしません。東電も国も責任をとらず、避難した人もしなかった人も苦しみ続けています。そんな人々に寄り添い、ヒロさんはずっと球美の里を守り続けています。
奥間政則さんより
沖縄県大宜味村在住の土建屋

沖縄の現状や沖縄のハンセン病の問題など、現地に来なければ得られないいろんなことを学ばれたと思います。ツアーに参加する前に私のDVDをご覧になって、ハンセン病のことについては物腰柔らかに話をしているのに、基地問題で総理に対して怒りを込めて声をあげるシーンに驚かれていたようですね。それは国策への怒りです。再び沖縄を戦場にしようとするやまとに対するうちなーんちゅの怒りです。ただ単に基地反対ではなく、沖縄戦で家族が犠牲になり、戦後ハンセン病を発症したことで世間の差別を受けてきた二つの国策に翻弄された両親への思いが、国策と闘う覚悟につながっています。今回のツアーで得た経験を今後の活動に活かしてください。
|土屋春代より|人権意識が高まり人々の尊厳が守られる社会になってほしいという願いでハンセン病問題を学び伝え続けています。当事者に直接お話を聴く機会が得にくい中でご家族の想いを伺いたいと探していた時にカナサの篠原孝子さんに紹介いただいたのが奥間政則さんでした。ハンセン病を発症した本人だけでなく家族もいかに苦しみもがき、辛い人生を送るかを教えられました。奥間さんはハンセン病隔離政策という国策を批判すると同時に辺野古新基地建設という国策とも土木工事技術者としての知識と経験を活かして闘い続けています。専門家としての資料作成は運動推進の強力な力となっているので寝る間も削る日々の中、角田さんの愛楽園見学に付き合ってくださっただけでなく、沖縄の最新情報も映像と資料で詳しく説明してくださいました。

久米島熱帯果樹園の山川さん(左)、TATAMI CHOCOLATERIE KUMEJIMA(ふーちヌーパン)の酒井佳孝さん(右)と。

久米島の阿嘉茂さんのカカオハウスで。
