1. ホーム
  2. > 特集
  3. > 虹色の星座 前田祐子さん tsuna36 2025sm

虹色の星座 前田祐子さん tsuna36 2025sm

虹色の星座 小さな光を繋ぐ未来へ

カカオフレンズを訪ねる 連載 第17回

前田祐子さん

取材・文・写真 高橋百合香

広大な宇宙に散らばる小さい点のような星でも、線で繋いで結んでいくことで夜空に大きな星座が見えてきます。沖縄カカオプロジェクトは、インド、ネパール、沖縄、東北の生産者さんたちだけではなく、全国各地のカカオフレンズの皆さんお一人おひとりの思いや願いが結ばれて、未来の姿が描かれてゆきます。フレンズの皆さんは、どんな思いで、リサチョコレートを手にしてくださっているのでしょうか。カカオフレンズのお話を伺う連載、第17回をお届けします。

———————————————

残暑厳しい2024年9月末、熊本に前田祐子さんをお訪ねしました。初めてお会いした前田さんに、沖縄カカオフレンズとしてご支援を継続くださっている理由を伺うと、開口一番「チョコレートが大好きで!」と満面の笑顔。一気に親しみを感じました。チョコレートが結んでくれたご縁を嬉しく思いながら、お話をお聞きました。


 猫好きの前田さん。木陰で猫が気持ちよさそうに昼寝をしていました。

大好きなチョコレートから広がる世界。

熊本県国際協会で販売されていたフェアトレードのチョコレートを見て、最初は「なぜこんなに高いの?」と疑問に思ったと言われる前田さん。しかし、安い方に理由があることに気が付いたそうです。「ずっと大好きだったチョコレート。どのように作られて手元まで届いているか、全く気にせずに食べていました。でもどこかの国で安い賃金で働かされている人がいるから、私が安い値段で食べられるんだと思うと、普通のチョコレートが食べにくくなってしまって…」。

その後、別の機会に熊本県国際協会を訪ねた際に、ネパリ・バザーロのカタログを見て沖縄カカオプロジェクトのことを知り、「大好きなチョコレートを通して、これなら私でも支援できる!」と思って申し込んでくださったそうです。チョコレート好きの前田さんに、ドキドキしながらLISAチョコレートの感想をお聞きしました。「美味しいです!今まで慣れ親しんできたチョコの味とは違ったけれど、これが本当のチョコレートなんだなと思いました。安いものではないから、口の中で溶かしながら、時間をかけて大事に食べています。だからかえって味わえるんですね」。

話はチョコレートから沖縄とのご縁に。40年ほど前に一度、沖縄に行ったことがあるそうです。ご両親と沖縄ツアーに参加し、ガイドの方に戦跡等も案内してもらい、米軍基地の問題についても説明を受けました。宿泊したホテルの近くに「旧海軍司令部壕」があり、ツアーが終わった後、家族3人だけで行きました。その壕は、沖縄戦で闘った大田實海軍中将が、壮絶な地上戦に巻き込まれた沖縄県民の窮状を訴え、特別の配慮を求めた言葉を残して自決した場所です。戦時中、海軍兵として激戦地フィリピンに派兵され多くの仲間を亡くされたお父様は、どのような思いで沖縄の地を訪ね、壕に行かれたのでしょうか。「父は、フィリピンへの慰霊ツアーに何度も参加していました」と前田さん。

お母様は満100歳。お元気だそうです。軍国少女だったお母様は、お国のためにと日本赤十字社の看護学校に行き、中国・北京の陸軍病院で働きました。同級生はフィリピンなどあちこちの陸軍病院に。戦地では、敵の攻撃ではなく、病気や栄養失調で多くの仲間を亡くされました。帰国後、同郷のお父様と結婚されたそうです。

九州の中心で軍都だった熊本は、現在も陸上自衛隊の西部方面総監部があり、自衛隊と米軍の日米共同訓練も行われ、熊本空港も使われています。「私が感じているだけかもしれないけれど…世界のどこかで攻撃や衝突があると、翌日には基地から演習所に向かう車が増える気がします。訓練が増えるんでしょうね。敏感ですよね。何かあると自衛隊の駐屯地にミサイルがくるんじゃないかな…地震よりそっちが怖いかな…」。

前田さんは10年ほど前から、熊本城や水前寺公園等でのガイドや美術館でのお手伝いを、ボランティアでされています。新聞等でハンセン病の問題を知り、「国立療養所菊池恵楓園」のボランティアガイド養成講座も受けられたそうです。「園内の納骨堂にはいっぱい骨壺がおいてあってね。引き取り手がいなくて、とても悲しかった」と前田さんは言われます。

「大好きなチョコレートを美味しく食べて、少しでも力を送れましたら嬉しい限りです!」好きなことや興味があることが明確で、そこから一歩、軽やかに踏み出され、社会の問題を自分事として受け止められながら生きていらっしゃる前田さんからは、爽やかな風を感じました。これからも、美味しく支え合う輪を大事にしていきたいと思います。


猫の話で盛り上がる前田さんと、ネパリ・バザーロ土屋春代(右)。ありがとうございました!