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バラのある暮らし tsuna30 2023w

薔薇と白茶のブレンドティーが新登場!

岩手県久慈市に咲くダマスクローズと、ネパールのヒマラヤの麓で育まれたホワイトティーが出会いました。

数ある花の香りの中でも薔薇の香りは特別とされ愛されてきました。そして、もっとも香りの高いダマスクローズに古来から人々は魅了されてきました。高価な香水の原料となり、高値で取引されています。香りが人の心や体に影響することは知られていましたが、最近の研究ではそれが科学的に裏付けられ、積極的に取り入れて心の病や疾患の痛みをやわらげるなどメディカルアロマセラピーという分野が発達し始めています。

「薔薇と脳」という本に「薔薇には、ひとの心を根底のところで癒やす力がある。老化とともに嗅覚も衰えるが、よい香りを嗅いで脳に刺激を送り活性化することができる」と書かれています。

ブレンドしたのは、カンチャンジャンガ紅茶農園から届いた“ホワイトティー”や“白茶”と言われる半発酵茶です。栄養価が高く、抗酸化作用のあるポリフェノール、ビタミンCやミネラルなど豊富に含まれています。古来から中国では「若返りの水」といわれ大切に飲まれてきました。

味わいは、ほのかな甘味があり、やさしく上品で繊細です。花のような、フルーツのような、甘美な香りがやさしく漂います。アロマとしても人気があり、穏やかな香りは、緊張をほぐし、心も身体もリラックスさせてくれます。

ダマスクローズとホワイトティーは、それぞれの味と香りを見事に引き立てあっています。初めて飲んだ時は感動しました。ホワイトティーの上品な味わいにダマスクローズのナチュラルなやさしい香りがふわりと広がります。日常の生活で薔薇の香りを楽しみリフレッシュしてみませんか?

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◇ダマスクローズは、岩手県久慈市から。

文・土屋春代

復興支援の山葡萄プロジェクトで岩手県の野田村に通うようになり、カタログに山葡萄使用のレシピを掲載するため郷土料理などをネットで調べていた時、隣の久慈市の料理研究家・木村晴子さんを知りました。ホームページの山葡萄を使用した美しいチラシ寿司などを見て、いつかお会いしたいと思っていました。2022年6月に沖縄県久米島の農業者・仲地リナさんを野田村に研修にお連れする時、野田村の山葡萄生産者・山口光司さんに研修コーディネイトをお願いしました。山口さんが選んだ訪問先のひとつが木村晴子さんの無農薬栽培のバラ園でした。6次産業に取り組まれている木村さんはバラを中心に果樹、古代小麦などを栽培される農業者でもありました。物静かで穏やかに語られる木村さんですが、バラに注がれる情熱は並大抵ではなく、お手製の焼き菓子と共にいただいたローズティーの芳醇な香りとまろやかな味わいにもすっかり魅了され、ぜひ一緒にネパリオリジナルの商品を開発したいと思いました。

バラへの思い

木村さんの幼い頃の忘れられない幸せな風景はバラと密接に結びついています。祖父と父親が戦後の経済的に厳しい農家の暮らしの中で生活のためでなく大切に育てていたバラの花。美しい花に触れたくても、幼い木村さんには決して触らせてくれませんでした。

1964年の東京オリンピックの後、高度経済成長に湧く日本。しかし農村はその中で忘れられたかのようでした。1日中働いても暮らしは厳しく、父親は追い詰められてアルコールに依存しバラの庭は荒れていきました。もっと違う農業のあり方はないのか、今度は、自分が農業をしようと考え、木村さんは畑にダマスクローズを植え始めました。庭の様々な種類のバラも復活し見事に咲くようになると近所の人たちが見に来てくれました。バラは人を集め癒やし、自分も癒やす。木村さんのバラへの思いはどんどん強くなりました。69歳で亡くなった父親は最後にバラを見て「きれいだ」と喜び、好きだったバラに見送られました。

ネパールのお茶と木村さんのバラの出会い

香りが特によく高級美容品原料にも使用され“バラの女王”と言われるダマスクローズ。木村さんのダマスクローズの清澄で若々しい香りを知り、なぜこんなにピュアな香りになるのかと不思議に思った香りのプロの調香師が実際に来て納得し、世界で最も高級と言われる本場の薔薇に勝るとも劣らないと絶賛されたそうです。バラ園の環境と木村さんの人柄と思いが育んだ香りは人を癒やし温かく包みます。香りと脳の働きはつながっているそうです。特にダマスクローズの強い香りは働きも強くリラックス効果だけでなく、前向きな力を与えてくれると思います。

咲く時期が短く、新鮮なうちに花を摘んで乾燥させ、ガクなどを取り除き花びらだけにするにはとても手間がかかるので、木村さんは栽培量を増やすつもりはないと言われます。丁寧な手仕事にこだわる限定栽培のこのバラと1本のお茶の木から採れる量がごく僅かなネパールのホワイトティーをブレンドしたお茶はなんと貴重なお茶でしょう。なかなか扱えなかったネパールのホワイトティーは木村さんのダマスクローズとの出会いを待っていたかのようです。豊かな一刻をお楽しみください。

◇幻のお茶・ホワイトティーは、ネパールから。

“白茶”とも言われるホワイトティーは、カンチャンジャンガ紅茶農園で、農薬や化学肥料を使用せず、自然にそった農法で栽培されています。一芯一葉を丁寧に手で摘み採り、「萎凋」と「乾燥」のみで仕上げます。発酵が非常に浅い状態で乾燥させた半発酵茶になります。「揉む」工程がないため、完成した茶葉は、ふわふわの白い産毛がついたままの状態で、これが「白茶」と呼ばれる所以です。シンプルな行程のため、上質な原料と職人の熟練の技術が求められます。世界のお茶の収穫量の0.1%未満で、大変希少価値があり高価なお茶です。

ダマスクローズと出会った、ホワイトティーの上品な味わいとフルーティーな香りをお愉しみください。発酵が浅いため、紅茶に比べてカフェインの濃度が低いのも特徴です。シーンを選ばずお飲み頂けます。

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同じ茶の木から取れた葉でも、製法によって発酵の度合が異なり、味も香りも全く違うお茶に仕上がります。
【白茶】摘採→萎凋→乾燥
【紅茶】摘採→萎凋→揉捻→発酵→乾燥
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産地に想いを馳せて、お愉しみに頂けましたら幸いです。ご注文はこちらから。

参考図書:
『薔薇と脳』 あまのけいいち K&Kプレス 
〈香り〉はなぜ脳に効くのか アロマセラピーと先端医療』 塩田清二