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虹色の星座 石渡純子さん 崇文さん tsuna37 2025a

虹色の星座 小さな光を繋ぐ未来へ

カカオフレンズを訪ねる 連載 第18回

石渡純子さん 崇文さん

取材・文・写真 高橋百合香

広大な宇宙に散らばる小さい点のような星でも、線で繋いで結んでいくことで夜空に大きな星座が見えてきます。沖縄カカオプロジェクトは、インド、ネパール、沖縄、東北の生産者さんたちだけではなく、全国各地のカカオフレンズの皆さんお一人おひとりの思いや願いが結ばれて、未来の姿が描かれてゆきます。フレンズの皆さんは、どんな思いで、リサチョコレートを手にしてくださっているのでしょうか。カカオフレンズのお話を伺う連載、第18回をお届けします。

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沖縄カカオフレンズの募集をスタートした2019年の第1期から、毎期フレンズになって下さっている石渡純子さんと息子の崇文さん。お訪ねした東京のご自宅はとても気持ちの良い空間で、純子さん手作りの紅茶スコーンと、崇文さんのイエラム入りケーキを美味しく頂きながら、背面の大きな本棚に心惹かれつつ、お話をお聞きしました。居心地の良さに、皆さん長居をされるというのも納得です。


左から純子さん、崇文さん。崇文さんは自宅で翻訳の仕事をしながら、時折キッチンでお菓子や料理を作るのが心地良いそう。ネパールカレーもお気に入りだそうです。

それぞれの生き方を尊重して

若い頃から自然食品店で買い物をされていた純子さんは、生活クラブ生協に出会い、作り手の顔が見えて安全な物が安定した価格で購入でき、生産者にとっても安心して生産できる仕組みに共感しました。積極的に活動に関わるようになり役員を務めていた頃、元川崎市議会議員で無所属の猪股美恵さんに声を掛けられ、それから20年間秘書として議員活動を支えてきました。意見が違う人の声にもとことん耳を傾けていたという猪股さんを共に支えていたのは、重度障がい児の施設で働いている方や、精神病院のケースワーカーの方など、社会的弱者の支援現場に関わる方々。人々の暮らしを良くしたいと本気で思う方々が集まっていました。

市民がいつでも集える憩いの場が欲しいと、議員事務所の一角に「スペース緑の風」を開設しました。様々な方がふらっと立ち寄って話をしたり、お茶を飲んで一日過ごしたり。その時の仲間がネパリ・バザーロのカタログを持って来たことがきっかけで、事務所に商品を置いて下さるようになりました。2015年に猪股さんが市議を辞められた後も、当時の支援者と共に現在も市民活動を続けられているそうです。最近は皆さんで、千葉県館山市にある女性自立支援長期入所施設「かにた婦人の村」を訪ねられたそうです。様々な事情で生活支援を必要とする女性たちに寄り添い、一人ひとりが持てる力を発揮し、尊厳を回復して自分らしく生きることを大事にされている場所です。市政に関わられていた時からの、声なき声を聴き、現場を訪ね、寄り添うという視点をぶれずに貫かれていることがうかがわれます。

純子さんの二人の息子さんは義務教育が合わず学校にあまり行きませんでした。純子さんは子どもたちの意思を尊重し、家で過ごす時間を大事にし、その日一日を楽しく過ごすことを心がけてきました。家の仕事の手伝いと保護猫2匹の世話は子どもたちの役割。できるだけ家に人が来るようにして、純子さんご自身も好きなことをして積極的に社会に関わるようにしてきたそうです。

ある時、関わっていた「不登校の親の会」を通して、精神障がいを抱えた当事者の地域活動拠点「べてるの家」に出会います。地元特産品の昆布を売りながら、「病気も売ります」と当事者の方が全国を回り自分の病気について話す様子や、当事者が自分自身の経験を仲間と共に研究するという「当事者研究」の取組みを知り引き込まれました。北海道浦河町にある「べてるの家」を訪ね、当事者の方が幻覚や妄想を披露する「幻覚妄想大会」など様々な企画がある「べてるまつり・当事者研究全国交流集会」にも参加しました。また「べてるの家」の方を招いたセミナーを企画し、大盛況だったようです。皆と同じ生き方を求められる空気の中、周囲に合わせようともがいて辛い思いをしてきた方々の存在は他人事ではないと、社会が受け止め始めていたのでしょう。隠さずどんどん話している姿は、参加された方一人ひとりの考え方や価値観が変わるきっかけになったことと思います。

「人と違う生き方をするって勇気がいりますよね」と純子さん。「崇文は哲学に出会い、その学びが自分を助けることにもなっているのだと思います。きっと自分の中から出てきたものを研究してきたのだと思います。いいものに出会って良かった」。

沖縄カカオフレンズになってくださった理由をお尋ねすると、純子さんは「夢がありますよね!沖縄に新しい産業が増えればいいなと思います」、崇文さんは「沖縄に何か支援できたらと思っていて…沖縄カカオプロジェクトが始まった時、以前から慣れ親しんできたネパリの活動も支援できるいい機会だと思いました。これからもささやかながら支援していきたいと思います」と嬉しいお言葉。私たちも崇文さんの人生、応援しています!