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虹色の星座 濱本千津代さん tsuna32 2024sm

虹色の星座 小さな光を繋ぐ未来へ

カカオフレンズを訪ねる 連載 第13回

濱本千津代さん

取材・文・写真 高橋百合香

広大な宇宙に散らばる小さい点のような星でも、線で繋いで結んでいくことで夜空に大きな星座が見えてきます。沖縄カカオプロジェクトは、インド、ネパール、沖縄、東北の生産者さんたちだけではなく、全国各地のカカオフレンズの皆さんお一人おひとりの思いや願いが結ばれて、未来の姿が描かれてゆきます。フレンズの皆さんは、どんな思いで、リサチョコレートを手にしてくださっているのでしょうか。カカオフレンズのお話を伺う連載、第13回をお届けします。

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「ネパリさんの洋服が大好きで、『風のラップパンツ』は何年も履きました。商品の美しさから入りました。ときめきですよね!お金をどこに流すかを自分で選ぶということなど、考え方にも魅かれて商品を愛用するようになりました」とキラキラした瞳でおっしゃる濱本千津代さん。2019年に『ゲンパッチー 原発のおはなし☆子どもたちへのメッセージ』を出版されたとお手紙を頂きました。すぐに取り寄せ、読ませて頂きました。子どもの目線に合わせて分かりやすく描かれてるのは原発の問題に留まらず、私たちがどんな未来を自ら選び取るのか、そのために大事な『イキルスベ』についてでした。いつかお会いしたいと願い、機会が訪れたのは2023年10月。お話を伺いました。


空一杯に枝を広げ、大地に根差した大木とのツーショット。福岡市内の大濠公園で。

真実の柱のような言葉をくれる子どもたち

福島第一原発事故が起こった時、濱本さんは末娘の授乳中。子どもを守るのに必死でした。翌年、北九州市が震災がれきを受け入れるという話が出てから様々な情報が錯綜し、詳しく調べ始めました。誰にとっても重要なのに、あまりにも難しく複雑にされているため敬遠されてしまう原発の問題について、子どもたちでも楽しく読めて理解できるような漫画を描きたいと思うようになり、『ゲンパッチー』が生まれました。「ある小学生が読んで、『お母さん、原発ってもう本当に駄目だね』と言ったそうです。ご年配の方からは『今まで読んだ原発の本の中で、これが一番分かりやすい!』という感想を頂きました。知らなかったら、なかったことにされてしまいます。これまで届かなかった人たちに伝わるといいなと思います」と濱本さん。

漫画を描いていた時に参考にしていたのは、個性豊かな3人のお子さんたちの感想。描いては読んでもらい、時にはストーリーの要となるような言葉をもらいながら物語が生まれていったそうです。例えば、「ママ、選ぶんだよ、自分で。扉があってね。それによって次が変わっていくんだよ」という末娘の言葉。一つひとつの選択が未来を創っていることを見抜いているのですね。3人のお子さんたちは、それぞれ小学校1年生で学校を辞める選択をしたそうです。子どもと一緒にホームスクーリングを始めた濱本さんが、迷ったり不安になったりした時に子どもに相談すると、「心配なのは分かる。分かるけど今じゃない。決める時は自分で動くから」と言われたそうです「子どもって、真実の柱のような言葉をくれるんですよね」と微笑む濱本さんのお父様は昭和12年生まれ。敗戦の後、教科書を墨で塗り潰した経験から、「先生でも、国でも間違う事があるんだよ」と言われていたそうです。知って、考えて、自分で選んで行動すること。それが『ゲンパッチー』に描かれている『イキルスベ』。

今後は、長年経験してきたホームスクーリングのことを漫画で表現してみたいそうです。「『こうでなければ』ではなくて、少数派でも『選べる』ということを自分の体験を通して楽しく表現して、輪が広がったらいいなと思って。これまでも大多数と違うことを表現すると誹謗中傷を受けることもあってすごく怖かったんです。でも描いて良かった。堂々と生きていきたいなと思っています」

なぜ沖縄カカオフレンズになってくださったのでしょうか?「チョコっていうところでときめきますよね!沖縄と福島をつなげて、沖縄に産業を創るということが、美しい流れだなと思って。チョコのセットが届いた時は、子どもたちと一緒に玉手箱を開けるような気持ちでした!」子どもたち一人一人を尊重し、天真爛漫な笑顔の中にあたたかな芯を感じる濱本さん。大人も子どもも、自分らしく生きられる社会を共に目指していきましょう!

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取材・文・写真 ネパリ・バザーロ 高橋百合香