虹色の星座 生方文さん tsuna37 2025a
虹色の星座 小さな光を繋ぐ未来へ
カカオフレンズを訪ねる 連載 第19回
生方文さん
取材・文・写真 高橋百合香
広大な宇宙に散らばる小さい点のような星でも、線で繋いで結んでいくことで夜空に大きな星座が見えてきます。沖縄カカオプロジェクトは、インド、ネパール、沖縄、東北の生産者さんたちだけではなく、全国各地のカカオフレンズの皆さんお一人おひとりの思いや願いが結ばれて、未来の姿が描かれてゆきます。フレンズの皆さんは、どんな思いで、リサチョコレートを手にしてくださっているのでしょうか。カカオフレンズのお話を伺う連載、第19回をお届けします。
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神奈川県の鶴見駅近くにある「天王院」。駅前の賑やかさとは一転して、広々とした境内は心地よい静寂と整えられた木々の新緑に包まれていました。いつも大切な贈り物に私たちの商品をご利用くださり、またサポート会員としてNPO法人ベルダレルネーヨの福祉活動も長年支えて下さっている生方文さんをお訪ねしました。奥に広がる梅林には、たくさんの梅の実が成っていました。

甘茶の花の隣で。お寺は、四季折々に咲く花々で豊かな表情を愉しませてくれるそうです。二人の娘さんと共にクーネのローションをご愛用くださっています!
存り続ける その先の未来へ
生方さんのお父様は、「教え子を再び戦場に送るな」という強い信念で教育に取り組まれていました。母の胸に抱かれながら、空から降ってくる焼夷弾を見ていた記憶があるというお母様は、養護学校の教師でした。当時は障がいがある当事者の方々が、障がい者に対する人権侵害や差別を告発し、誰もが社会で幸せに生きる権利があるということを訴え、大きな運動となっていた時代。お母様を通して、障がいがあっても助け合って共に生きていくということが当たり前のこととして育ちました。小学校の平和学習では、「なぜ被害の問題ばかり取り上げられるんだろう…」ともやもやとした思いを抱えていたそうです。ご両親の元で様々な社会問題に触れながら、自分で考えるということをしっかり育まれてきたことが伝わってきます。
そんなご両親の背中を見ながらも、校内暴力が社会問題だった時代背景もあり「もっと違う教育があるのではないか?」とご自身の道を模索される中でシュタイナー教育に出会いました。大学でドイツ文化を専攻しながら、学外のシュタイナー思想の研究会に熱心に通う日々。詰め込む教育ではなく、子どもを尊重し、その子自身が持っているものを伸ばしていく教育方針に惹かれました。卒業後、シュタイナー教育の幼稚園で働いていた時に、本屋で偶然ネパリ・バザーロのカタログを手にしました。「あっ!ネパール!」脳裏によみがえったのは、小学生の時に読んだ本「ヒマラヤの孤児マヤ(岩村史子著)」。同じ時代に、こんなに過酷な生活を強いられている子どもたちがいるということに、純真な子どもの心は揺さぶられ、ずっと心に残っていたそうです。
その後、大学時代の同級生で僧侶となっていた常明さんと再会し結婚されます。お寺は人々の心の拠り所。『常に在る、常にいる』ということが何よりも大切な場所。365日、毎朝6時に門を開けて一日が始まる日々がスタートしました。義父母に教わりながらお寺の仕事を覚えていき、出産し、初めての育児も始まります。常明さんと相談しながら、常明さんが主に育児を、文さんが主に家事をと分担し、お寺と家庭を共に守ってきました。大変でしたよね?と伺うと、「結婚を転職のように捉えていたのかも。お寺の仕事が好きだということに、最近気が付きました。私にとって〝自分で選択をする〟ということは、とても大事なこと。自分で選んだからには、こちらを選んで良かったと思えるように日々を重ねていきたいと思っています」。
これからのことを伺うと、「『ここにずっと在る』ことが仕事なので、在り続けられるように頑張ります」と文さん。隅々まで美しく整えられたお寺や境内からは、住職の常明さんやお掃除を担われる方々と共に、先代の想いと歴史を受け継ぎ、人々を迎え、次世代に引き継いでいくという生き方が伝わってきます。「社会全体で人の付き合いが希薄になってきているので、お寺がもっと気軽に来てもらえて交流を深められる場所になったらいいなと思います。お寺のことを何も知らない私を温かく受け入れ見守って下さったお檀家様をはじめ、ご近所の方やお世話になっている方に、来て良かったと思ってもらえる気持ちの良い場所を作っていきたいです」。
沖縄カカオプロジェクトを応援してくださっている理由をお尋ねすると「ネパリさんがやっているから!」とさらっと一言。背筋が伸びる思いです。「本当は自分も現場に行って一緒に働きたいのですが、私にはここを守るという役割があります。それなら頑張っている人を応援する人になろうって思ったんです」。沖縄カカオプロジェクトには、現地で挑戦する方と共に応援してくださるフレンズさんの人生や想いもつまっていることを身に染みて感じました。皆の力を合わせて、夢を叶えていきましょう!

インタビュー終了後、土屋春代と。ありがとうございました!
