紅茶農園を訪ねて vol.2 tsuna40 2026sm
人が人らしく生きるために
紅茶農園を訪ねて vol.2
~新たなステージに向けて~
文・高橋百合香

vol.1 で、丑久保完二さんと6年ぶりにカンチャンジャンガ紅茶農園(KTE)を訪問したことをお伝えしました。地元に戻って働く初期の元奨学生たちは30代半ばとなり、組織の中核となって働く姿には感慨深いものがありました。長く続けてきたからこその成果を実感すると共に、以前よりは生活環境も改善されているとはいえ、奥地の村ではまだまだ自力での進学は難しいことを痛感しました。私たちの専門教育支援が果たしてきた役割、今後への期待もひしひしと感じる一方、日本の状況も変化し厳しい中でどのように続けていくべきなのか思案しながら紅茶農園を後にしました。
空港に向かう途中、ビルタモードゥという町で元奨学生のシタさんとヘマさん、妹のシッタルさんと奨学生のサンシラさんにお会いしました。食事をしながら近況を聞いていると、シタさんとヘマさんが、実は元奨学生たちに呼びかけて小さな基金を設立しネパリの一助となりたいと考えていると打ち明けてくれました。自分たちも次世代に貢献したいと。出せる人から少しずつ集めて基金を作り、困っている奨学生がいたら基金から支援し、いずれは奨学金も出したいと。思いがけない心からの提案に驚き、感動しました。
シタさんは地方政府の役所で働き5年。日々市民に寄り添い困り事に対応しています。様々な事情を抱えているシングルマザーの相談が特に多いそうです。知識、経験、ネットワークが蓄積されています。へマさんは出稼ぎで出国する方への健康診断を行う会社で働いていますが、若者が外国に行かざるを得ない状況を憂いています。お給料でキサン民族の養護施設の子どもたちにプレゼントをしてくれたこともあります。心臓病の手術代を私たちが支援したことにもずっと感謝されています。
焦らずゆっくりではありますが、頼もしく成長した若者たちと専門教育支援の新しいステージに向けて動いていきたいと思っています。まだまだ時間はかかると思いますが、これからも皆さまに見守って頂けますようお願い申し上げます。
チャンドラカラ・バッタライさん
町の小児科で働いていたチャンドラカラさん。夫に先立たれ7人の子どもたちを一人で育ててくれた母を支えたいと、実家近くの病院への転職を希望していましたが、さらに奥地のタプレジュン村の政府系診療所に赴任することになりました。紅茶農園の事務所から車で9時間、しかも4、5時間は未舗装のラフロード。医者も医療設備も圧倒的に不足し、生活も厳しい僻地です。どんな気持ちで一人で新しい環境に飛び込むことを決意したのでしょうか。届いた写真からは、どっしりと構えて子どもに向き合っている様子が伝わってきます。特に女性や子どもたちに歓迎されていることでしょう。これから様々な経験を積まれることと思います。いつか現地で、仕事の話、村の暮らし、将来の夢・・・色々な話を聞きたいです。

ユブラジ・バスコタさん、サビン・バスコタさん、ラクシュミ・バスコタさん、ケサブ・バスコタさん、アルジュン・バッタライさん
ユブラジさんは、政府系家畜事業を担うNGOの現地スタッフ。300人程の農家さんの家畜の種類や数、飼育歴などの情報が書き込まれてるファイルを誇らしそうに見せてくれました。「村人たちが喜んでくれて本当に嬉しい!」と満面の笑み。弟のサビンさんと共に毎日巡回しています。
ラクシュミさんと弟のケサブさんは、獣医として政府系事務所に勤めながら家畜の薬などを扱う店も運営しています。
アルジュンさんはフリーの立場で政府系事務所から仕事を委託され村々を回っています。村人たちにとって家畜は大事な家族であり財産です。必要とされる獣医の仕事に元奨学生が続々と就き、また自ら仕事を興して地域に貢献していることを頼もしく思います。


カンチャンジャンガ紅茶農園から届いた「春摘み紅茶(リーフタイプ)と「テトラティーバッグ 手摘みのお茶・春摘み紅茶」
春摘み紅茶=ファーストフラッシュは、厳しいヒマラヤの冬を乗り越え芽吹いた新芽です。3月頃に手摘みしました。
若々しく爽やかな味わいと、ふわっと広がるフローラルな香りが特徴です。この時期は気温が低いため発酵が浅い分、清涼感も増しています。ティータイムにはもちろん、和菓子や和食にもよく合います。
沸騰したての熱湯を注いでじっくり蒸らします。夏は水出しやオンザロックで、アイスティーもおすすめです。
ご注文は商品名をクリックしてください。ネパールに想いを馳せて、お召し上がり頂けましたら幸いです。

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東ネパールのインド国境に住む少数民族キサンの人々。若者たちが自らの民族の生活向上を目指して活動しているキサン・ファンデーションからアドバイスを得て2007年から専門教育支援を行ってきました。紅茶農園に行く時の経由地にあり、今回も訪ねました。元奨学生3名をご紹介します。
スニタ・キサンさん
支援を始めた頃、スニタさんの家は川の中州にあり雨が降ると川が氾濫して大変でした。両親はいますが生活が厳しいため養護施設で育ちました。成績優秀で努力家だったスニタさんは私たちの奨学金で准看護師コースを卒業後、薬剤師コースに進学。2022年に卒業しましたが薬剤師の資格試験はなかなか受かりませんでした。2024年にようやく合格しカトマンズの薬局で働き始めました。2025年12月に訪問し誇らしそうに働く姿を見て、よく諦めずにここまで頑張ったなと胸に迫るものがありました。スニタさんは経験を積んでお金を貯めて、いつか自分の薬局を開きたいと夢を語ってくれました。自分もキサンの子どもたちに貢献したいと。その気持ちは、きっとスニタさんのこれからの人生を支えてくれることでしょう。

サビタ・キサンさん
キサン民族の中でも特に生活環境が厳しいサビタさん。9歳頃からようやく学校に通い、途中ドロップアウトしてしまいそうな時もありましたが、私たちの奨学金でカレッジ(※)を卒業することができました。父と兄が亡くなったため早く家計を支えなければならなかったのですが、女性が仕事に就くことは簡単ではありません。なかなか就職できませんでしたが、2025年秋に少女たちを人身売買からレスキューする団体で働き始めたという嬉しい知らせが届きました。より困難な女性たちをサポートする仕事に巡り合ったことに、サビタさんの役割を感じました。12月に会いに行った時は、ちょうど教会のクリスマスプログラムの最中。一張羅で迎えてくれたサビタさんは、スピーチの中で私たちに感謝の気持ちを伝えてくれました。これからも困難を共に乗り越えていきましょうね。応援しています。

ミナ・キサンさん、リナ・キサンさん
2024年に二人で小さな部屋を借りて仕立て屋を始めました。キサン民族の方々が住む地域一帯は、元はジャングル。開墾し、質素な家を建て、土地を耕し畑にしています。そんな場所に、突如現れるおしゃれなショップ。Youtubeを参考にして作ったという彩り鮮やかなドレスが並べられています。訪問した時は近所の女性がサリーの仕立ての依頼に来て、布地を見ながら楽しそうに話をしていました。二人のショップは、女性たちがおしゃれで心を潤しながら社会につながる場であることを感じました。二人は仕事をしながら進学も目指しています。慣習的で女性の立場が低い環境にあって、自立心、向上心旺盛で新しいことにチャレンジしている彼女たちの存在は、少女たちにとって大きな希望です。

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