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病み棄ての戻り道

私たちは歴史にどう向き合い、どう生きていけばよいのでしょうか。今を生きる仲間と共に、政治や国、社会の在り方について問い続け、意見を交わし合い、誰もが大切にされる未来をつくっていきましょう。

つなぐつながる学びの会4回目、沖縄から、伊波敏男さんをお招きいたします。

お申し込みはこちらから。クリックしてください。
(お早めにお申し込みください!)

■日時:2024年3月16日(土)14:00~16:45 (開場13:30)

■場所:地球市民かながわプラザ(通称あーすぷらざ)1F会議室
横浜市栄区小菅ヶ谷1-2-1(JR本郷台駅より3分)

■参加費:1500円

■定員:70名/要予約(お申し込はこちらから。クリックしてください!)

伊波敏男さん
県民の4分の1の命が奪われた沖縄戦、1歳8カ月の私の命は、母の背で生き延びた。28万人の県民捕虜収容所では、栄養失調やマラリアが襲いかかります。それらの災厄をくぐり抜けた14歳の私は、ハンセン病に罹患発症し、沖縄愛楽園に隔離収容されました。
16歳で療養所を脱走し、琉球列島住民のパスポートを手に、進学をめざし父と同伴でヤマトへ向かいました。卒業後、1996年まで社会福祉の仕事に就き、同年の「らい予防法」廃止を契機に作家活動に専念することで再出発し、数冊の作品と講演活動で「ハンセン病問題」を訴えつづけてきました。
私の人生の闘いのテーマは、「平和問題」と「ハンセン病問題」の二つですが、今回の講演主題は「ハンセン病問題」です。
国家が誤りを犯し、国民の無関心で、ハンセン病患者やその家族が病み棄てにされた。
1807年から2010年までに隔離収容された患者総数は56,575人、その内25,500人が療養所で亡くなり、人間の尊厳を求めて正式に社会復帰した者が7,124人、療養所の脱走者が12,378人の合計、隔離収容者総数の34.5%が、皆さんと同じ一般社会で、「病歴」を隠し、「偏見」や「差別」を恐れ、重い「烙印」を背負って生きてきました。
国が犯した法律と政策が、司法で裁かれて23年、現在、わが国の元ハンセン病患者は、療養所に927人、社会復帰者が870人、合計すると1,797人となりました。
今、ある異変が起こっています。病気の再発でもないのに、自分の意志で、ハンセン病療養所へ再入所する社会復帰者が相次いでいます。
わが国のハンセン病問題は、日本版「アウシュビッツ」です。国家と国民は、なぜ? 特定の病人たちを病み棄てにしたのか、どのような被害を病人やその家族に与えたのか。
この「病み棄ての戻り道」の扉を開くのは、あなたです。

プロフィール
1943年沖縄県生まれ。14歳ハンセン病療養所沖縄愛楽園隔離。16歳同園脱走。本土へ。1961年岡山県立邑久高等学校新良田教室入学。1967年中央労働学院入学。1969年社会福祉法人東京コロニー入所。1993〜1996年同法人・社団法人ゼンコロ常務理事。1996年作家活動に専念。2000年長野上田市に移住。2003年「伊波基金(現NPO法人クリオン虹の基金)」創設。2004年信州沖縄塾塾長。2010年公立長野大学客員教授。2019年、沖縄へ。ケアハウスありあけの里入所。

ご著書
1997年「花に逢はん」(NHK出版)。同書、第18回沖縄タイムス出版文化正賞受賞。「ハンセン病を生きて」(岩波ジュニア新書)、その他著書多数。2024年「ニライカナイへの往路」(沖縄タイムス社)

土屋春代(ネパリ・バザーロ創立)
伊波敏男さんの本はほとんど読んでいます。ハンセン病国立療養所・沖縄愛楽園で伊波さんのことを知り、最初に「ハンセン病を生きて」という岩波ジュニア新書を読みました。とても分かり易く書かれていて、ハンセン病問題の全体が分かるだけでなく、伊波さんの訴える思いがすーっと入ってきました。14歳で発症、家族と引き離され終生隔離の療養所で尊厳と自由を奪われての生活。進学、就職、結婚・・・、厳しい闘いの連続を突き進む伊波さんを節目節目の出逢いが支えました。伊波さんの書かれたたくさんの本を読むうち、お会いしたことはないのにまるで会話しているような不思議な感覚になり、時には悲しみや怒りをぶつけられたように息が詰まり苦しくなったこともあります。
長野県上田市に住まわれ信州沖縄塾という会をつくり活動されていた伊波さん。4年前に上田に近い軽井沢に家族が移住し、お会いする機会を期待した矢先、伊波さんは沖縄に戻られてしまいました。幸い、ご縁をいただき2023年9月に軽井沢の中学で授業をしていただきました。伊波さんのお話は子ども達の心をしっかり掴み、皆、真剣に聴き入る姿に心打たれました。病原性が低く特効薬も発見され治癒する病とわかってからも隔離が続き人生を奪われた人々。一般市民の無知、無関心もそれに加担してしまった事実。伊波さんの渾身のメッセージを受け、一人ひとりの尊厳が守られ命が輝く社会を築くために、今日から、できることから始めてみましょう。