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沖縄カカオプロジェクト tsuna21

虹色の星座 ~小さな光を繋ぐ未来へ~

カカオフレンズを訪ねる連載第2回

大阪府大阪市西成区「紙芝居劇 むすび」
マネージャー石橋友美さん

取材・文・写真 簑田理香

広大な宇宙に散らばる小さい点のような星でも、線で繋いで結んでいくことで夜空に大きな星座が見えてきます。沖縄カカオプロジェクトは、インド、ネパール、沖縄、東北の生産者さんたちだけではなく、全国各地のカカオフレンズの皆さんお一人おひとりの思いや願いが結ばれて、未来の姿が描かれてゆきます。フレンズの皆さんは、どんな思いで、リサチョコレートを手にしてくださっているのでしょうか。カカオフレンズのお話を伺う連載、第2回をお届けします。

大阪市西成区・通称釜ヶ崎のアーケード商店街に紙芝居劇団「むすび」の事務所を訪ねました。劇団員のおふたりとマネージャーの石橋友美さんやスタッフさんが、脚本の読み合わせを賑やかに行なっていました。事務所と言うより、誰でも自由に出入りできる部室のようなサロンのような雰囲気です。 「むすび」は、2003年に、釜ヶ崎地域の単身高齢者の人間関係づくりの一助にと解放されていたコミュニティスペースで自然発生的に生まれたつながりで、初期の劇団員のほとんどが元ホームレスの方たちでした。紙芝居とお芝居を組み合わせたスタイルで、地域の演芸場や高齢者施設などで、時には大阪も飛び出して公演活動を行なっています。2005年からボランティアでマネージャーを務める石橋友美さんにお話を伺いました。

釜ヶ崎、福島、沖縄を繋ぐ出会い 石橋さんとネパリ・バザーロとの出会いは、東日本大震災での被災者支援の活動でした。ネパリ・バザーロは、南相馬市や飯館村から福島市などに避難していた被災者の方達を宮城県の温泉へご招待するという活動を始めていました。共通の知人がつないでくれて、ネパリ・バザーロ主催の東鳴子温泉ツアーで劇団「むすび」の公演が実現したのが2014年のこと。その出会いを石橋さんは、こう振り返ります。「これだけ長い時間をかけて、とにかく丁寧に誰も搾取しないフェアな関係を築いてきた人たちがいることに、驚きもしたし感動もしましたね。さらにその収益を第三者への支援に使っている。それはもう、目から鱗でした。活動の内容は違うけれど私たちもそれが目指すところ。励みになりましたね」

バックパッカーで世界を旅し、帰国後は派遣労働を体験したり人権問題の啓発の仕事にも携わっていた経験がある石橋さん。働くことと、その対価についてはずっと考え続けています。

「土屋さんやネパリの皆さんは、米軍基地に依存せざるを得ない沖縄の雇用の問題を考えていらっしゃいますよね。基地があることで収入につながるから問題を直視できなかったり、どこかに後ろめたさを抱えながら基地を否定できない人も少なくは無いかもしれません。でもこうやって、L I S Aチョコのように、価値のある生産品を自分たちで作り出せて、喜びの労働ができて、福島の子どもたちを力付けることもできる仕組みづくりができるんですよね。歪んでしまったお金と労働の関係を、ネパリさんの活動は覆そうとしているし、そこに多くの力を注いでいる。すごいことだなあと思うんです」

石橋さんが語る「喜びの労働」と言う言葉が強く心に響きます。日雇い労働者の街、釜ヶ崎を見つめてきた石橋さんならではの言葉です。

「むすび」で出会った人の中には、ブローカーに騙されてオマーンなど中東の工事現場で酷使されていた人もいれば、沖縄出身で幼児期に戦後の修羅場を体験して孤児になり、釜ヶ崎に流れ着いてきた人もいます。彼は去年、コロナの給付金が配られた時、その中からカンパをむすびの事務所に持ってきてくれたそうです。92歳の方は、若い頃から自身のセクシュアリティを自覚していても、ずっと人に言えずに苦しい日々を送ってきました。それで今、自分の自然な姿や態度でいることや表現をすることで、悩める次世代を励ましています。

東鳴子温泉に行ったのは、おりしもネパールで大地震が起きた直後。招待されていた側の飯館村の方たちが自分たちも避難で大変な状況なのに「ネパリさんが活動しているネパールが大変!」と、募金を集め始めてくれました。その時は、釜ヶ崎から福島原発の廃炉作業員になって働き、今は栃木県にいる劇団員が会いに来てくれたそうですが、彼も小さく折りたたんだ1万円を出して寄付してくれたのだそうです。

「日本の高度経済成長の陰で、危険なところや、人がやりたがらない仕事をし続けてきたおっちゃんたちの多くは人の痛みがわかるし、いたわりあって生きてきたところもあります。誰もが喜びの労働で生きていけたら、どんなにいいだろうと思います。ネパリさんの活動に力をもらいながら、地域を超えて喜びの未来をつくっていきたいですね」

大阪府大阪市西成区「紙芝居劇 むすび」


東鳴子温泉での舞台の様子。

取材・文・写真 簑田理香
栃木県益子町在住。地域編集室簑田理香事務所 主宰。

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