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落花生の作り手を訪ねて伊江島へ tsuna08 2018s

チョコづくり 未来づくり 沖縄産カカオの夢

落花生の作り手を訪ねて伊江島へ


川も湖もない伊江島は、水が十分に得られないため、稲作ができませんでした。落花生は、伊江島の気候と水はけのいい土壌に合い、一時は特産品として島おこしが盛り上がったそうです。しかし収穫量が低いので、多くの方が辞めてしまいました。現在の生産者は10軒ほど。2018年2月に、生産者の内間康富さんを訪ねました。

伊江島では、旧正月が終わる2月末から3月頃、落花生の植え付けを行います。収穫は7月から8月頃。収穫後、一つひとつ手でもぎ取りながらの選別作業はとても手間がかかり、熟練の方でも1日にかご二杯がやっとだそうです。熟練になるとシェッピラ(沖縄の方言で〝小さい〟の意味)や早熟のものなど、殻付きのまま触っただけで大体分かるそうです。しかし島では高齢化が進み、人手が足りません。機械化する等色々試してみたそうですが、「熟練のおばあちゃんが一番早い」と内間さんは言います。

さらに難しいのが天日干しだそうです。乾かしていると、空からハトやカラスが狙ってきます。「網を被せないのですか?」と伺うと、「それじゃあ、価値が下がるだろ。天日干しの意味がなくなるさ。農業は、半分分けの気持ちだよ。畑に鳥が飛んでくると、そろそろ収穫時期だと教えてくれる。どこの畑のものが美味しくできたかも教えてくれる。そのお礼、気持ちの分さ。体はこれっぽちだけれど、心はたっぷり広いんだ」とユーモアたっぷりの内間さん。ネクストステージさんとコンビを組んで1年程になるそうで、「一生懸命作ったものを全部買い取ってくれる人がいるのはすごく嬉しい。幸せだ」と。私たちも、一人でも多くの方に「ハニーピーナッツ」を気に入って頂けるように頑張らないとと思いました。

≪ハニーピーナッツの製造を担う「ネクストステージ」さん≫

ピーナッツの薄皮をむく作業も、これまた大変! 「ハニーピーナッツ」の製造は「ネクストステージ沖縄合同会社」が担っています。代表の金城恵子さん(左)は、農業の六次化を通して、障がいのある方々や高齢者、就労の機会を得にくい方々などの働く現場や交流する場の創造を目指しています。

≪濃厚なピーナッツの風味がやみつきに!≫

沖縄の伊江島や、本島北部のやんばるで無農薬栽培された、天日干しの落花生。じっくり丁寧に焙煎し、石臼式ミルで挽いた、風味豊かで濃厚なピーナッツが何と90%。ネパール産の純粋はちみつで、程よい甘みを加えました。
栄養豊富なピーナッツは、若返りのビタミンといわれている〝ビタミンE〟、血中の中性脂肪や悪玉コレステロールを下げ、動脈硬化などの生活習慣病を予防するといわれている〝オレイン酸〟、整腸作用を促す〝オリゴ糖〟や〝植物繊維〟など、豊富に含んでいます。

アイスにハニーピーナッツを添えて、コーヒーをかけるとアフォガード!
コーヒーの苦味とピーナッツの香ばしい風味がくせになる美味しさ。コーヒーを濃い目に淹れて、熱々をかけるのがおすすめ。
クリームチーズ、生ハム、レタスをはさみ、ハニーピーナッツをぬります。チーズや生ハムの塩気とピーナッツの甘みが相性バッチリ!食欲がそそられますよ。
≪2018 年2月に、スタッフ・ボランティアのメンバーで沖縄を訪ねました≫

初日は、本部半島の国立ハンセン病療養所「沖縄愛楽園」訪問後、ネクストステージさんで作業体験。2日目は伊江島の「命どぅ宝の家」、落花生生産者の内間さん訪問。最終日は沖縄本島最北端の辺戸岬、辺野古、瀬長亀次郎さんの「不屈館」と回り、活動家の高里鈴代さんに貴重なお話を伺いました。
●命どぅ宝の家を訪ねて ネパリ・バザーロ 会長 土屋春代
ハニーピーナッツの落花生は沖縄県北部の伊江島の特産品です。伊江島は沖縄戦の縮図と言われる激戦地で島民の3分の1近くの方が亡くなった悲惨な歴史があります。戦後も米軍による土地の強制収用で生きる術を取り上げられ、飢餓に直面しました。 しかし、暴虐に対して非暴力で、どんな非道な相手も人間として接し、説得する姿勢を貫きました。その非暴力の闘いの先頭に立ったのが阿波根昌鴻(あはごん しょうこう)さんでした。

阿波根さんは命こそ宝(沖縄の言葉でヌチドゥタカラ)という沖縄の精神を受け継ぎ、平和の尊さを知ってもらおうと反戦平和資料館を伊江島に遺されました。

資料館は立派な建物では決してなく、展示品はガラスケースに入れられているわけでもありません。阿波根さん自身が撮られた村民が犠牲になった事件の写真、ゴミから拾ったと謙遜される当時の日常道具や血の付いた服、薬莢や模擬原子爆弾やパラシュートなどが所せましと並べられ、手で触れることもできます。それが戦争の実態、殺し合いの恐怖、酷さを一層生々しく伝えています。犠牲になるのは庶民、毎日を必死に生きている人々だと訴えます。

阿波根さんを支え続けた養女の謝花悦子さんは反戦の志を受け継ぎ「命どぅ宝の家」を守り、資料館の館長をされています。闘い続けた70余年。しかし、悪化する現状。迫る危機に焦りを感じると言われます。

謝花さんが「阿波根の言葉でどういうことかよく分からない言葉があります。彼は資本主義の中で、利益を平等に分けるしくみをつくらねばと言っていたのです」と、ふと、言われました。まさにフェアトレードのしくみではないかと驚きました。私たちは阿波根さんの言われた〝しくみ〟を実現したいと取り組んできました。感動でしばらく身動きできませんでした。

(つなぐつながる 2018夏 vol.08より)