暮らすように働く 2022年4月
スタッフの一言
ロシアがウクライナに侵攻して始まった戦争の収束が見えません。第二次世界大戦後も今年まで、戦争が行われていなかった年などなく、日本もいくつもの戦争に関わってきました。朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争・・・どれほどの犠牲を払えば人は学ぶのでしょう。戦争は始まってしまったらなかなか終わらず、どんどん残酷になっていきます。戦闘が終わっても、破壊された街並みが再生されても、失われた命、壊わされた心は元に戻りません。始めないこと。絶対に始めないこと。戦争を憎み、戦争につながる可能性のあることやものは徹底的に排除していく、一人ひとりの意識と行動しか平和をもたらすことはできないと思います。平和は守るより壊す方が簡単なのだから。(春代)
2019年春号で「グルミ村物語コーヒー」の記事を書かせて頂きました。東西ドイツを隔てていた壁が壊され、民主化の波がネパールにも押し寄せて来た頃の話です。しかし、ウクライナへのロシアによる侵略をみると、まだ、それ(冷戦)は終わっていなかったのだと気付かされます。ウクライナの隣国には、ポーランド、ルーマニアがあります。ポーランド人でザメンホフという人が考え出したエスペラント語を勉強していたのは50余年前のこと。習いたての言葉で文通したのがウクライナ。黒海は綺麗だと。若かったので、その置かれた民族の葛藤まで想いやることはできませんでした。ルーマニア人の方とも文通しましたし、日本にいらっしゃる方にお会いした体験もあります。誰かに追われていて命が危ない、カーテンの陰から外を度々覗くその姿に、その人の置かれた厳しさ、弾圧の深さまで思い遣ることができませんでした。アジアでも、いまだ、バングラデシュの軍弾圧による暴力が横行しています。弱者の視点で行動する大切さを持って、これからもフェアトレードの概念を大切に進みたいと思います。(完二)
ネパリの事務所は鎌倉市との境の住宅地にある普通の民家で、出荷作業をしている部屋の窓は庭に面しています。その庭にリスが訪れているのをこの春何度も目撃。これまで全然見ることはなかったのに・・・とふと考えたら、少し前からの大規模な道路建設で、工事現場近くの雑木林は伐採され、小山が切り崩され、掘削の地響きがしています。そこから追い出され、逃げ出したリスだったら、人間の都合で住まいを奪ってしまったということで、「かわいい〜!」とばかりは言っていられない、申し訳ない気持ちです。(早苗)
先日「ナチュラルセラピーカカラ」の大山カオルさん、「こだま食堂」の児玉陽子さんにインタビューをさせて頂いたのですが、お二人とも自然に、将来の夢の話をしてくださいました。生き方、暮らしかた、根っこがつながっていて、盛り上がりました。また、伊江島の「命どぅ宝の家」の謝花悦子さん、元「ちえのわハウス」の和田美恵子さんからは「70代は最高の年齢よ!充実してるわよ!」と、力強いお言葉を。私は何と恵まれた環境にいるんだろうと思いました。夢を語り、年を重ねた先に心身ともに充実した時間があることをキラキラとした目で語ってくださる大先輩方がいます。年々生きることがしんどくなってしまうような厳しい社会情勢ですが、だからこそ、夢を描くこと、希望を語ること、どんなにささやかでもそのビジョンを仲間と共に目に見える形にすることが大事なんだなと、自分のやるべきことを感じています。(百合香)
大阪を拠点に、生活困窮を抱える子どもたちと母親の生活をサポートしている認定NPO法人CPAOさんの、2021年度総会をオンラインで視聴しました。現在は大阪の繁華街だけではなく、東京の歌舞伎町でも、月に一度10代向けの炊き出しなどをされています。そのご活動の範囲の広さと芯の強さにいつも「すごいなぁ…」と敬服するような思いでいました。今のデフレ社会では、子どもや若者たちが何らかの方法で少し稼いだら深夜バスで東京の繁華街にも簡単に行けてしまうこと。そんな時代であっても、外に出たくても家庭から出ることができない子どもたちの方が多く、その様な支援の手が届きにくい子どもの存在がコロナ禍でより深刻になったこと。子どもたちにも“自己責任”の社会が染み渡ってしまっていること。薄氷を踏む思いで言葉を選び、一人一人と向き合われてこられたCPAOさんのお話で、今の日本の状況に、そして社会を知った気になっていた自分にショックを受けました。「関わってくれてさえいたら、できることはなんでもやる」「外に出てきてくれて、出会えた子たちだから全力でやってきた」と力強く言われていたのがとても印象的で、人のために毎日、毎秒動かれている方々の強さとやさしさに鼓舞されている気がしています。(萌)