1. ホーム
  2. > 特集
  3. > “完熟”シークヮーサー物語 tsuna32 2024sm

“完熟”シークヮーサー物語 tsuna32 2024sm

地域の宝・シークヮーサーでまちおこし

文・土屋春代

濃い緑の果皮に包まれたシークヮーサーはとても酸っぱい果実だとずっと思いこんでいました。酸っぱいものが苦手な私は食べたことがありませんでした。2021年秋、ネパールから輸入していたオレンジピールの生産中止が決まり、沖縄の柑橘で代用しようと考え、タンカンの皮の入手に動きましたが、なかなかうまく進まず、シークヮーサーではと、名護市にある勝山シークヮーサーさんを紹介いただきました。ジュースを搾った後に残る皮を購入したいとお願いし、快く応じていただいたものの、ネパールの状況が変わり、輸入が継続できることになりました。折角、評判の高い勝山さんとご縁ができると喜んでいたので、この機会にシークヮーサージュースを取り扱いたいと思いました。訪問した3月初旬、事務所の横にある木のオレンジ色の小さな実を見ていた私に、代表の安村弘充さんは「シークヮーサーの熟した実です。すごく美味しいので食べてみてください」と、もいで渡されました。酸っぱい味を想像し、戸惑いましたが、食べてびっくり。とてもジューシーで甘いのです!シークヮーサーの実は熟すと皮が柔らかくなり傷みやすく出回らないことを産地に来て知りました。2023年春に完熟シークヮーサージュースを発売すると、酸味、苦味、ほのかな甘味のバランスがよく爽やかでストレートでも飲めるほど美味しく、しかも体にもよいとリピーターになる方が多く、大好評です。私にとっては果実で食べるのとは一味違う大人な味のシークヮーサージュースなのですが、ラム酒と合わせると、まろやかで美味しくて止まらなくなりそうで恐いほどです。

シークヮーサーの里
シークヮーサーは古くから沖縄の各地に自生するミカンで、勝山も名産地です。勝山は傾斜地が多く農業には厳しい地域で、自生しているシークヮーサーを加工用として販売していましたが引取価格が低いため、もっと収益を上げられないかと生果で直販したり、美味しいジュースを作ると評判の製造所に委託してジュースにするなど模索し手応えを感じることができました。そこで、勝山地域の農家が一致団結し2001年に「シークヮーサーの里」を宣言、地域おこしを推し進めることにしました。2003年、安村さんと生産農家は4人で、核となる「有限会社勝山シークヮーサー」を設立し、加工から販売までを行うことにしました。その頃、テレビでノビレチンが多く含まれているので健康に良いと取り上げられたシークヮーサーは一躍ブームになり全国的に知られるようになりました。

更なる貢献を目指して
(有)勝山シークヮーサーは農家が集まってできた会社なので契約している農家をとても大事にしています。美味しいシークヮーサーが実るよう技術研修をしたり、農家と一緒に全国各地の農業生産団体を訪れ参考にしたりしています。大事な成分や香りを逃がさない搾汁法と、徹底した品質管理で製品は高い評価を得ています。世界的な食品コンクールであるITI(国際味覚審査機構)の優秀味覚賞で最高位の3ツ星を2012年から10年連続受賞しました。
安村さんを始め社員の皆さんは長年、地道な努力を積み重ねてこられました。取り扱い店や事業所を訪ね感謝を伝えると共に製品に関する意見を大切にし、人間関係、信頼関係を築かれ、それが販路拡大にもつながりました。このように人を大切にする行動は昨年からの農福連携の取り組みにもつながりました。収穫で忙しい9月から12月の間、地域作業所、就労支援施設などに収穫作業への参加を呼びかけたところ3つの事業所から収穫作業に集まり2カ月で5トンも収穫でき驚いたそうです。作業をした人たちも収入も得られ、自然の中での収穫は楽しかったと喜び、双方にとって良いこの取り組みは今後も続くでしょう。運命共同体として地域貢献を目指す勝山シークヮーサーさんらしい取り組みです。
(有)勝山シークヮーサーの企業理念は、①農業と農村を蘇らせる。②ウマンチュ(万人)に役立つ価値を生む。③分かち合う。④我々は進化する。⑤ウマンチュ(万人)の喝采を受ける。
勝山の誇り高いハルサー(畑人)たちに喝采!!!


「シークヮーサーの里 勝山」の石碑の前で安村弘充さん(右)と。


子ども達をシークヮーサーの森に案内した安村さん。

夏のおすすめ!はちみつイオン水。作り方は簡単!水(500ml)、はちみつ(大さじ2)(小さじ1/4)、シークヮーサー完熟果汁(大さじ1)を、冷水ポットなどの大きめの容器に材料を入れよく溶かし、冷蔵庫で冷やします。夏バテしやすい季節には、ミネラル、ビタミン、水分をたっぷり補給しましょう。