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初めてネパールを訪問して tsuna31 2024s

ネパールで出会った生産者の様子や感じたことをお伝えします。

文・簑田萌


ミランガーメントの工房では、女性たちが新商品の「ひょこっとうさぎ」を作ってくれていました。見ているだけでワクワク!

2019年の秋からネパリ・バザーロで働き始め4年が過ぎた2023年の末、初めてネパールを訪問することが出来ました。現地に行ったことで、日々の私の働きには、生産者の方々の暮らしを左右してしまうほどのつながりがあること、その責任の重みをより痛感しました。だからこそ、日々の働きを通して、生産者にとっても私たちにとってもより良い社会を作れるのだという希望を強く感じています。

ハンディクラフトやはちみつ、スパイスの生産者、コーヒー産地グルミ村の皆さん、奨学生など、東に西に移動し多くの方にお会いしましたが、ここでは「サヌ・バイさんの工房」と「マヌシ」で感じたことをお伝えいたします。

洋銀雑貨の生産者、サヌ・バイさんの工房にお邪魔し、息子のゴクールさんにお会いしました。写真で見ていたあのゴクールさんだ!サヌ・バイさんの工房だ!と、嬉しさと興奮の時間。新商品のサンプルの打ち合わせをしながら、ゴクールさんが作業の一部分を見せてくださいました。ヘアゴムチャームのカーブを修正し、別の洋銀からゴムを通す部分をつくり、バーナーを使いながらチャームに取り付け、手作業で何度も磨いていく。一部分の作業を自分の目で見ただけでも、その手間と細かさに驚き、ゴクールさんの手で作られる洋銀を私は販売しているんだ…と、自分の立場を自覚し直しました。別れ際、「たくさん仕事をくださいね」と笑顔で私たちに言われた時は、ズシンと、何かを受け取った感覚でした。私たちが商品を販売し、その分生産者の方々にオーダーが出来ればそれは収入になる。実際に顔をあわせ言葉を受け取ったことで、私の日々の仕事が生産者の方々の生活に直結していることを改めて感じました。

風のラップパンツなどの生産者「マヌシ」の工房では、2004年のカタログでもご紹介したカンチさんも縫製の現場にいらっしゃり、お顔を見た瞬間、カンチさんだ!ととても嬉しく思いました。2009年に技術研修のために日本にお呼びした時のことを楽しそうに話される姿を見て、自らの技術を習得することで得られた自信、マヌシで働き続け自らの生活を切り拓いてきたことへの喜びを感じました。それはネパリが30年以上共に歩んできた結果でもあり、それだけ生産者の方々の仕事と暮らしを支えてきたのだと実感した瞬間でもありました。カンチさんだけではない、つながる生産者の方々の暮らしを想像すると日々の私の仕事に戻ってくること、生産者の皆さんにお会いしてより深く感じています。

「顔が見える」「共に働く」という言葉の意味はこれまでも理解はしていましたが、背負っているものの大きさを知り、自分の経験を通した言葉を持てた今の私には、以前とはまた違う働く喜びと自覚が生まれている気がしています。決して充分とは思わないですが、4年の事務所での日々を経てからネパールへ行くことができ、とても良かったです。

またネパール訪問を前に緊張していた私に、たくさんのお客様が「楽しんで来てください!」とお声をお寄せくださり励まされました。ネパールでつながりを深く感じることが出来たのは、皆さまが商品を日々ご愛用くださり、あたたかなお声をお寄せくださっているからこそとも思います。本当にありがとうございます。

生産者の方々、奨学生、そして私たちも生きやすい社会をつくれるよう、一歩一歩、地道に働いていきたいと思います。これからも、どうぞよろしくお願いいたします!


マヌシのカンチさんと、やっと私もお会いできたことが何よりも嬉しかったです!


ゴクールさんの作業を覗き込みながら、私の仕事の重みを感じていました。スモールフラワーのヘアゴム、皆さんもぜひお手にとってみてください。


キサン民族の奨学生たちに、日本の学生たちも応援していることを伝えました。より良い未来を共に生きられたら嬉しいです。


ウールンガーデンの皆さんが作られたニットに囲まれて、楽しい時間でした。