カタログ編集後記 2024
2024年冬カタログ つなぐつながる vol.34
元旦の能登半島地震の後、奥能登に行く度に被災された方達の心の悲鳴が突き刺さります。そこに9月末の豪雨です。わずか9ヶ月の間に大災害が2度も襲うとは、言葉を失います。地震により大きなダメージを受けた道路や崩れた崖や堤防を失った川、放置されている瓦礫の山など、遅々として進まぬ復旧は凄まじい豪雨にひとたまりもありませんでした。浸水予想地域に建てられた仮設住宅は床上浸水でまたもや住めなくなりました。生活を立て直そうとされていた矢先です。落胆のあまり心が折れてしまわれないかと心配です。8月末に大型台風の進路が気になり電話で様子を伺った時、輪島の方が「今回は大丈夫そうだ。こんな状況に大雨が降ったらたまらない。賽の河原になってしまう」と言われました。災害列島でありながら災害にあまりにも脆弱なこの国は今回のことも仕方がないで済ませるのでしょうか。明日は我が身と思っています。自助・共助は頑張ります。しかし、公助が遅すぎ、少なすぎるのではないでしょうか。(春代)
地球規模での温暖化が指摘されて久しいですが、私たちの身の回りでは、その現象が、残念ながら顕著になりつつあります。今年だけでも、奥能登の大地震と大規模な地滑りや水害、ネパールでも、9月末に降り続いた4日間の雨で、カトマンズの川周辺、南側(ラリトプール)奥地は、道路の崩壊寸断、停電が発生しました。今までに経験したことがない規模で、50年周期で発生すると言われるネパール大地震よりも酷い状況とも言われています。もっと本腰をいれた防災対策、食の自給率の向上など問題は山積みで、今までのようなアプローチでは通用しない現実が目の前にあります。そんな中、ネパールから朗報が入って来ました。身寄りのないアシャさん、シムランさんの市民権の取得です。今年、ハンセン病回復者の伊波敏男さんと共に若月賞を受賞した、「アジアのノーベル賞」と呼ばれるマグサイサイ賞を受賞した故岩村昇医師とも親交が深い、楢戸医師との出会いが、市民権取得の扉を開きました。詳しくは、次号でお知らせできたらと思います。(完二)
以前からタイ料理が好きでナンプラーはよく使っていましたが、日本の魚醤、いしりは馴染みがありませんでした。今回能登のいしりを味わって、そのマイルドで深みのある旨みに驚きました。いろんな料理に少量加えるだけで出汁要らず。能登の豊かな食文化が守られるよう、感謝し大切にいただきます。(早苗)
「私たちのことはいいから、輪島の様子を見て自分事と思ってほしい。何かあったら見棄てられますよ」「多分、皆思っていますよ。見棄てられた、見放されたって」 能登で出会った方の言葉が頭を離れません。豪雨災害に見舞われたネパールからも、戦争の最前線に立たされようとしている沖縄からも、ジェノサイドが放置されているパレスチナからも聴こえてくる当事者のその声に、どうやって向き合い生きていくのか突き付けられた1年でした。答えは簡単ではありませんが、誰もが大事にされる社会は実現可能だと信じて、皆さまとつながって声をあげ、輪を広げていきたいと思います。(百合香)
伊江島のラム酒に続いて、能登の地酒も応援させていただける事になり、カタログの雰囲気も変わって来ました。販売できるまでは、以前より応援したいと考えていた福島浪江に由来する日本酒を提供します。その味は、輪島塗のぐい呑みでいただくと、より優しい口当たりで美味しさが際立ちます。能登の地酒を味わえるようになることを願いながら、こちらも応援をしたいです。9ページでは、奥能登酒造復興応援会員も募集していますので是非ご覧ください。(ひろ)
災害が起きた時、日々の尊い暮らしや生業を誰が守ってくれるのかということをより深く考えるようになりました。考え、言葉にすればするほど憤りを感じることもありますが、お客さまとその気持ちを共有出来た時にとても希望が湧きます。ご注文のお電話やお手紙、ネット注文の際に添えてくださるメッセージを頂く度、きっとより良い方向に向かえるはずと思えることが出来ます。本当にありがとうございます。奥能登の方々が作られる商品を託して頂き、皆さまにお届け出来ることでも、また新たな良い未来につながると信じて。ご注文をお待ちしております!(萌)
2024年秋カタログ つなぐつながる vol.33
沖縄カカオプロジェクトを沖縄カカオプロジェクトを2017年に開始し、2019年に南インド産オーガニックカカオと沖縄産黒糖だけでクラフトチョコレートを製造し発売しました。その時は原材料や製造方法のこだわりを形にするために試作から本格製造までの各段階の試行錯誤で時間を取られ、モールドは市販品を使用、パッケージデザインは沖縄伝統の染色技法・紅型でしたが、どちらもオリジナルデザインでスタートすることはできませんでした。5年経って、ようやく今回、ロゴを入れたモールドとパッケージの紅型をそれぞれ発注することができました。チョコレートを製造する岩手の工房スタッフたちもすっかりベテランになり、製造能力が上がり、小さなサイズでお買い求めやすくして需要にお応えできるようになりました。沖縄の状況はハイペースで悪化しています。ある離島の首長は臨戦態勢のような発言で「闘う覚悟」を住民に求める有様です。平和を守る、維持することは相当の努力なしには叶いません。沖縄が平和の象徴の島になってほしい、カカオが新しい産業のひとつとなり少しでも貢献できたらと想いは強まります。(春代)
今回は、久々にネパールのコーヒー物語続編(シリンゲ村)を書きました。シリンゲ村のコーヒー農家のバドリさんとハンディクラフトのサナ・ハスタカラで初めてお会いして7、80キロしかカトマンズから離れていないのに秘境、陸の孤島と言われるシリンゲ村に興味を持ちました。しかし、これほど深くお付き合いをするとは思ってもいませんでした。国際有機証明取得を通じた応援の後、ネパール大地震が村を襲い、私たちも震災支援に入りました。九州を中心とするグリーンコープも震災支援を申し出て、その支援にも協力しました。ネパールに関わるのは初めてというオルター・トレードの当時の顧問、故堀田さんをシリンゲ村、そして、バイラトンというシリンゲ協同組合を構成する高地まで案内しました。若者たちが堀田さんの手を引き、背中を押して、汗をかきかき懸命に登る堀田さんを助けていました。物語には登場しない様々な出来事が脳裏をかすめて行きます。願いは一つ。人々の尊厳が守られ、少しでも暮らしやすい社会になって欲しい。その想いです。(完二)
今号のネパリ食堂はスパイスと発酵を組み合わせたメニューです。漢方薬や薬膳にも使われるスパイスと、腸内環境を整え栄養価も高い発酵食品(キムチ・味噌・チョコレート・チーズ・ラム酒…等々)。さらに美味しさもアップ!長かった猛暑で疲れ切った体に栄養をたっぷり摂り入れてくださいね。(早苗)
今年の夏は、ベルダでお客様にツバキオイルでハンドマッサージをさせて頂いたり、喫茶オドリバさんに美味しいコーヒーの淹れ方を教えて頂いたりしました。ちょっとしたきっかけでお客様と話が盛り上がりました。商品や作り手のこと、日々感じること、政治の話、「ひとり街宣行ってきました!」という嬉しい報告も。熱量のある空間でした。思えばコロナ禍で私たちが手放してしまったことは、話すことと触れること。でもこの二つは、個人においても社会においてもとても大事なことだと思います。これから何があっても手放さないように、日々の暮らしから大事にしていきたいと思います。(百合香)
チョコレートのミニサイズ、カタログ制作中にぎりぎりパッケージも完成しました。紅型作家のやまださんに今回はオリジナルでデザインから染め迄作って頂きました。愛情たっぷりで作って頂き、とても素敵な紅型をありがとうございました。中もネパリオリジナルのモールドで出来たチョコレート。こだわりの薄さで舌の上でとろけます。ぜひ、一度手にしてみてください。(ひろ)
秋カタログの最終校正中、誕生日を迎え30歳になりました。20代が終わったというだけで随分と大人に近づいたと感じますが、自分自身での成長は中々感じられていません。それでも仕事を通して出会う大人たちからは歳を積み重ねていく希望を感じさせて頂いていて、伊波敏男さんからは語り続ける強さであったり、奥間政則さんからは自分自身は変われるというメッセージであったり、大切なことを教えて頂いています。まだまだ未熟ですが、想像力を持ってしなやかに感じ、動ける大人になっていきたいです。(萌)
2024年夏カタログ つなぐつながる vol.32
埼玉の原爆の図・丸木美術館で開催された阿波根昌鴻さんの写真展で行われたトークイベントに阿波根さんと埼玉の原爆の図・丸木美術館で開催された阿波根昌鴻さんの写真展で行われたトークイベントに阿波根さんと埼玉の原爆の図・丸木美術館で開催された阿波根昌鴻さんの写真展で行われたトークイベントに阿波根さんと50年以上、活動をともにし、その遺志をつぐ謝花悦子さんが沖縄・伊江島から参加されました。高齢でお体も不自由になられた謝花さんに関東でお会いできるとは信じがたい幸運です。事前告知があったわけではないのに、知り得た人々が各地から続々と集まりました。謝花さんを囲む人々の熱気がすごくてなかなか近寄れませんでした。最近は辺野古の集会にも積極的に参加される謝花さんは、それだけ日本の危機を強く感じられ居ても立ってもいられないのだと思います。阿波根さんから謝花さんに受け継がれた反戦平和を守る行動を受け継ぐひとりに私もなります。(春代)
1月から3月は、コーヒーの収穫の季節です。グルミのコーヒーは、4月末に、村から首都カトマンズに到着しました。シリンゲのコーヒーは、まだ、皮剥き、発酵、そして乾燥させてパーチメントコーヒーにしているので、その1ヶ月後です。今年は、グルミよりも遠方のピュータンからも少しですが、届いています。スパイスは、ターメリックやシナモンが4月から5月頃にカトマンズに到着しています。紅茶は、茶園では、春摘み(ファーストフラッシュ)からセカンドフラッシュに変わります。季節の変化とともに、それぞれの味わいを楽しんで頂ければと思います。(完二)
ラム酒にもカクテルにも馴染みがなかったのですが、イエラムは果汁とはちみつを混ぜるだけですっきりしていて口当たりがよく驚きました。ケーキにも相性抜群で、今度はラム酒香るチーズケーキを焼いてみようと思います。ラム酒を混ぜたクリームチーズディップがメチャ美味しかったので、味はすでに保証つきです。(早苗)
ピュータン産シナモンは、うっとりするほどスパイシーな甘い香り。最近はシナモンホール、ブラックペッパーホール、ジンジャーエールスパイス少々を煮出すだけのホットウォーターがお気に入り。程よくピリッと効いて体がポカポカに。その昔、貴重なスパイスは戦争の引き金となり、植民地化が進みました。未だに続く植民地主義、グローバリゼーションによる搾取と暴力の連鎖…それを止めるためにも、私たち一人一人の心と体が温かく満たされ、皆でつながって希望を持って生きていくことは大事なことと思います。スパイスで体調を整えて、夜はラム酒を愉しんで(!)、自分自身を大事にして、平和を生みだしていきましょう。(百合香)
普段ラム酒をあまり飲んでいなかったのですが、今回の撮影で色々なカクテルを飲んだところどれも飲みやすくて美味しい。モヒートも自分では作ったことがなかったのですが、撮影用にミントを贅沢にたくさん使って作ったモヒートが絶品で、今年はミントを自分で育ててモヒートを作ろうと思っています。ミントをグラスに入れたら、ミントを潰してから液体を注ぐのが大切で、初めは潰さずに入れたらミントが浮かんできてしまって、見た目がいまいちでした。味にもミントが出やすくなるそうですよ、ぜひ、お試しください。(ひろ)
5月や8月、年末の連休になるとお手伝いに行かせて頂いている沖縄・伊江島の「ヌチドゥタカラの家」。今号から、ラム酒を通して阿波根さんや謝花さん、そして伊江島蒸留所の皆さんについてお伝えできることがとても嬉しいです!伊江島に伺い謝花さんにお会いする度、「また来てくれて有難い」「仕事をたっぷり用意しているよ、難儀するよ」と言って頂けることで、より頑張ろう!と思えます。いつも力強く話される謝花さんに初めはとても緊張していましたが、別れ際には毎回手を握ってくださるとてもあたたかい方です。いつまでもお元気でいて頂きたいです。(萌)
2024年春カタログ つなぐつながる vol.31
沖縄の辺野古新基地の埋立工事を国は代執行という暴挙をもって再開しました。これは沖縄県だけの問題ではなく、全国の問題です。地方自治が脅かされている今、なぜ、他の自治体が異議申し立てをしないのでしょう。辺野古新基地建設に対し、県民投票で7割を超える県民が反対する沖縄で、玉城デニーさんは知事選で辺野古新基地建設反対を掲げ、多くの県民に選ばれて知事になられたのですから、その公約を守るのは当然です。闘う玉城知事を支持します。玉城知事を孤立させまいと必死に守る沖縄の人々。沖縄戦もそうでした。なぜ、沖縄はいつも2024年春
沖縄の辺野古新基地の埋立工事を国は代執行という暴挙をもって再開しました。これは沖縄県だけの問題ではなく、全国の問題です。地方自治が脅かされている今、なぜ、他の自治体が異議申し立てをしないのでしょう。辺野古新基地建設に対し、県民投票で7割を超える県民が反対する沖縄で、玉城デニーさんは知事選で辺野古新基地建設反対を掲げ、多くの県民に選ばれて知事になられたのですから、その公約を守るのは当然です。闘う玉城知事を支持します。玉城知事を孤立させまいと必死に守る沖縄の人々。沖縄戦もそうでした。なぜ、沖縄はいつも沖縄の辺野古新基地の埋立工事を国は代執行という暴挙をもって再開しました。これは沖縄県だけの問題ではなく、全国の問題です。地方自治が脅かされている今、なぜ、他の自治体が異議申し立てをしないのでしょう。辺野古新基地建設に対し、県民投票で7割を超える県民が反対する沖縄で、玉城デニーさんは知事選で辺野古新基地建設反対を掲げ、多くの県民に選ばれて知事になられたのですから、その公約を守るのは当然です。闘う玉城知事を支持します。玉城知事を孤立させまいと必死に守る沖縄の人々。沖縄戦もそうでした。なぜ、沖縄はいつも沖縄の辺野古新基地の埋め立て工事を国は代執行という暴挙をもって再開しました。これは沖縄県だけの問題ではなく、全国の問題です。地方自治が脅かされている今、なぜ他の自治体が異議申し立てをしないのでしょう。辺野古新基地建設に対し、県民投票で7割を超える県民が反対する沖縄で玉城デニーさんは知事選で辺野古新基地建設反対を掲げ、多くの県民に選ばれて知事なられたのですから、その公約を守るのは当然です。闘う玉城知事を支持します。玉城知事を孤立させまいと必死に守る沖縄の人々。沖縄戦もそうでした。なぜ、沖縄はいつも “本土防衛”のための捨て石にされるのでしょう。あまりに理不尽です。見ざる聞かざる言わざる、どんどん日本社会は萎縮しています。いつか膨らみきった風船は破裂します。今じゃない。自分の生きている間ではないと思っている、その時に。(春代)
春号では、クミン栽培の様子をお伝えすることにしました。高騰する物価、人件費のなかで、ハンディクラフトが苦境にたっています。現地フェアトレード組織も、この対策の一環として、食品アイテムに力を入れています。その協働作業の一面です。私たちの世代も高齢となり、若い世代に引き継がれようとする過程でもあります。農業専門家の育成も不可欠です。今回ご紹介した記事は、14歳の頃からご一緒した奨学生が成長して切り拓いて行く未来像が垣間見られます。皆さまの日頃からの応援あっての結果です。(完二)
昨年収穫された椿の実の搾油が陸前高田で始まり、産地ごとに少しずつ横浜の事務所に届いています。メニューのご紹介として3種のソースを考えました。火も包丁も使わず混ぜるだけで、お野菜、お肉、お魚といろんな食材を引き立てる美味しいソースが出来上がり、椿油の底力を再認識しました。ぜひお試しください。(早苗)
2023年末、ネパールでハンセン病回復者の方々が暮らす集落を訪ねました。子どもたちが興味津々の様子であちこちから出てきます。沖縄で初めてハンセン病療養所を訪ねた時の事。立派な施設ですがひっそりしています。子どもたちの姿は見えません。はっとしました。こういう事なのかと…。日本は国策として終生隔離政策をとり、強制断種や堕胎をして子どもを産ませませんでした。その徹底ぶりは世界でも類を見ない程。3月16日の学ぶ会ではハンセン病回復者で作家の伊波敏男さんにお話し頂きます。題目は「病み棄ての戻り道」。病んでいるのは誰?もしかして無知・無関心でいた私/私たち…?戻り道とは?一緒にお話をお聞きしませんか。(百合香)
新商品のウサギのマスコット、制作段階から娘も一緒に見させて頂き、「手を短くした方がウサギっぽい」など百合香さんへお願いしていました。ネパールからも開発中の打ち合わせでの様子を写真で送ってくださり、娘も出来上がりを楽しみに見守っていました。出来上がるとカラーも可愛く、持っているだけで嬉しくなるようです。私自身は、携帯に付けようかなあと考え中です。(ひろ)
ネパール訪問の感想を書かせて頂いたのですが、実は出国の日の早朝、生産者の方々にフィードバックするための商品を詰め込んだスーツケースを押しながら駅まで小走り、いつの間にか盛大に転んでいました…。私こんな派手に転べるの?と痛みよりも驚きが勝りながら何とか駅のホームに着くと、鍵を落とした事に気づき、家の方まで探しに戻り…。完二さんと百合香さんにスーツケースを持って行って頂いて(申し訳ありません!)、血だらけの膝を隠しながら後から空港に合流しました…。身体は資本、健康第一で今年も頑張ります!!(萌)