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スパイスのおいしさの秘密 verda14

地域開発 人が人らしく生きるために

ネパール生産者 日本のマーケットを訪問

 

2005年9月6日、ネパリ・バザーロ会長土屋春代、副会長丑久保完二が、ネパールのスパイス生産者、ディリーさん、パルシュラムさんと共に「大地を守る会」を訪問し、現地の状況、特にスパイスの取り組みについてご紹介をしました。「大地を守る会」では、全国各地の生産者と提携し、誰もが安全な食品を手に入れられるしくみを作り、消費者のネットワークを広げながら、安心して食べられる農産物、畜産物、水産物、加工食品などを広く提供するための事業を展開しています。また、農薬や化学肥料を使わないだけではなく、限りある環境・資源を守り、文化を大切に伝え続けることで、誰もが安全な衣・食・住を手に入れ、「あたりまえ」の暮らしができるよう、様々な取り組みを行っています。私達の活動やネパールの状況も深く理解した上で、ネパールで無農薬栽培されたフェアトレード・スパイスを検討して頂きました。加工食品の担当をされているスタッフの方々に、ディリーさんとパルシュラムさんがその想いを語りました。

ディリー お会いすることができて、とても光栄です。カンチャンジャンガ紅茶農園は小規模の農民が集まって作られた農業協同組合(Co-operative)で、化学的なものは一切使用せず、すべてオーガニックの紅茶栽培を行っています。私達の地域は全体に貧しいので、皆で安心して暮らせるようにしたいという想いから、橋をかけたり道路を整備するなどの地域貢献や、これまでの経験やノウハウを活かして、収入向上のチャンスのなかった人々にも手をさしのべようと努力してきました。しかし銀行のローンの利子が高く、その分経営が苦しい面もあります。現在は日本のネパリ・バザーロ以外に、ヨーロッパやアメリカなどに輸出をしています。最近は少しずつマーケットが広がってきましたが、今後よりマーケットを広げていくことは私達にとって重要な課題です。紅茶は栽培してから換金するのに4、5年かかります。農民たちは、畑にひえやあわなどの穀類を植え、それらをインドなどへ販売していますがなかなか収入に結びつきません。若干のスパイス栽培もしていますが、ほとんどは家庭で消費する程度です。紅茶に対して、成長の早いスパイスはとても貴重な収入源となります。雑穀などと比べても、スパイスは高い価格で買い取ってもらうことができます。もし成長が早く、すぐに現金化できるスパイスのマーケットがあれば、人々の生活はより向上します。
パルシュラム コーヒーが栽培されている西ネパールでは、良質のブラックペッパーが採れます。ヒマラヤの環境下によるものなのか、ネパールではとても品質の良い様々なスパイスが収穫できます。しかし、流通が不安定な点を考慮し、比較的流通の安定している東ネパールからも収穫できるように構想しています。
ディリー 外国からの援助は、遠方の村々にはなかなか届きません。もし日本にマーケットを見つけることができれば、彼らの生活は確実に向上します。私達は十分に注意を払い、質の高い商品を提供するので、ぜひたくさんの人に紹介してください。それによって貧しい人々の生活は確実に良くなり、直にお金が届きます。
パルシュラム 農民達の生活が向上すれば、子どもたちは学校へ行くことができ、必要な文房具などを買う費用もできます。
ディリー 今回2度目の日本訪問になりますが、お客様が私達の製品を美味しいと言って、継続して買ってくださっていることを心強く感じました。召し上がって頂いたらお分かりになりますが、確実にリピーターになってもらえると確信しています。もし、ネパールにいらして頂ければ、生産のすべての工程をお見せしますので、ぜひおいでください。生活の苦しい人々と仕事をしていくのは時間がかかりますが、一生懸命努力していきたいと思います。日本のマーケットが品質に対してとても厳しいということはよく知っています。でもそれを必ずクリアできるように努力します。
パルシュラム スパイスが成功すれば、苦しんでいる人々を支えることができます。私達の活動を理解し、ご協力頂けたら本当に嬉しく思います!

(紅茶農園とスパイス生産者をつなぐのどかな道)

ネパールで自然農法に添って栽培されたスパイスは、食の安全を重要視する欧州の国際協力機関からも高く評価され注目を受けていますが、問題はマーケットを見つけるのが難しいということです。作る人にとっても、味わう人にとっても嬉しいスパイスは、ヒマラヤの環境を守り、そして人々の生活向上に大きな役割を果たします。また、安全で豊かな社会の創造につながります。「大地を守る会」を始め、日本や他の国々でマーケットを広げていくことは、ネパールの未来につながっていくのだと強く感じる訪問となりました。

(元気に育っているターメリック)

(verda 2006春号 vol.14)

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