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沖縄カカオプロジェクト 虹色の星座 tsuna23

虹色の星座 ~小さな光を繋ぐ未来へ~

カカオフレンズを訪ねる連載第3回

フェアトレード雑貨のお店「千手観音」
オーナー小西純寛さん

取材・文・写真 簑田理香

広大な宇宙に散らばる小さい点のような星でも、線で繋いで結んでいくことで夜空に大きな星座が見えてきます。沖縄カカオプロジェクトは、インド、ネパール、沖縄、東北の生産者さんたちだけではなく、全国各地のカカオフレンズの皆さんお一人おひとりの思いや願いが結ばれて、未来の姿が描かれてゆきます。フレンズの皆さんは、どんな思いで、リサチョコレートを手にしてくださっているのでしょうか。カカオフレンズのお話を伺う連載、第3回をお届けします。

東京メトロの南阿佐ヶ谷駅を出てすぐ、青梅街道に面して小西さんのお店はありました。「千手観音」という店名もそうですが、フェアトレードショップのオーナーとしては珍しい男性であることもあって、お店を始めた経緯や理由への好奇心を抱きながらお店のドアを開けました。広いと言えない店内ですが、バングラディシュのジュートで作られた箒や、パレスチナの女性たちによる刺繍のポーチなどが並びます。もちろん、沖縄カカオプロジェクトのL I S Aチョコも!

阿佐ヶ谷の窓から、世界をみて。
お店のオープンは2009年。小西さんにとって、お店の経営は、長年勤めた会社の早期退職の勧めをきっかけにした、いわば、セカンドライフの挑戦でもありました。小西さんがフェアトレードの世界へと入った経緯には、かねてから旧宗主国と植民地、先進国と途上国という構図の中での世界の不条理を感じていたことがあると言います。

「例えば、高校の頃に授業で南米には白人が所有する大規模農場があって、現地の人たちは厳しい状況や条件での労働を強いられていると教わりましたけど、それから何十年たってもそんな格差の状況は何も変わっていない。勤めていた会社はどちらかと言えば大企業ですが、大企業と中小企業との格差も開いていく一方です」

「格差」「先進国の責任」「公正・不公正」・・・。そんな視点で世の中を見つめながら、会社員時代からフェアトレードのお店を訪ねるようになったそうです。

「ずいぶん前にネパリさんが全国のフェアトレードのお店を紹介する本をつくっていて、それを頼りにお店を回ったり勉強会に参加したりしていました。男性の私が買えるものはチョコレートくらいだったけど、手仕事の商品がどれも素晴らしくて、お店をやってみようと自然と思えました。早期退職する時は、もう勤め人は嫌だ!という気持ちもありましたから」と、柔らかい笑顔で語ってくださいました。

沖縄カカオプロジェクトの案内を見て、すぐにフレンズになっていただいたそうですが、沖縄へはどんな思いを持たれていたのでしょうか?

「豊島区の駒込に東京琉球館という沖縄のアンテナショップのようなお店があります。そこで定期的に開かれる、沖縄、日本、世界が抱える諸問題についての勉強会に参加しているんです。以前、知人に誘われて、嘉手納(ルビ:かでな)基地の滑走路脇に1坪の土地を買いました。一坪反戦地主の一人なんですよ」

一坪反戦地主運動は、沖縄で米軍に強制収用された土地の戦争につながる軍用地への利用を認めず、契約に応じない反戦地主を支える取組みです。土地を分割して多くの人が購入し、契約拒否の姿勢を支えています。沖縄の基地問題もフェアトレードと根っこは同じ。小西さんのお話からは、その根っこが見え隠れします。

「フェアトレードで世界が変わるか?というと、なかなか難しい問題だと思います。だけど、植民地時代に搾取的に作られていたものを、ネパリさんは、カカオの場合はインドの生産者と、コーヒーやスパイスなどはネパールの生産者と直接取引して買っていて、中抜きする業者がいるわけでもなく、ニューヨークの為替相場で価格が決まるわけでもない。価格の決定権が生産者側にある。そんな徹底した公正な姿勢に可能性を感じるし、販売だけじゃなくてNPOの非営利活動も手厚い。それがネパリさんの頼もしさだと思う。僕は、いろんな国や沖縄のことを話すし、アジア・アフリカのものを売っているけど、現地にはどこも行ったことがない。会社員時代は時間がなかったし、お店も一人でやっているからここを離れられない。その分、いろんな活動の支援をさせていただいているというわけなんです」

レジの奥に貼られた世界地図の前で、そう話す小西さんが、千の手を伸ばす観音像と重なります。お店の名前の由来は、今から30年ほど前に、東武デパートで観る機会に恵まれた、チベットの女性版千手観音ともいえる「白傘概仏母(ルビ:びゃくさんがいぶつも)」だそう。万能感にあふれた魅力を感じたそうで、こう補足してくれました。

「これは後付けなのですが、千の手で産地と生活者を結び、いつもたくさんの手にフェアトレード商品を持っているというイメージで店名にしたんです」

千手観音
東京都東京都杉並区成田東5-42-13小川ビル1F
TEL:03-3393-0294

取材・文・写真 簑田理香
栃木県益子町在住。地域編集室簑田理香事務所 主宰。

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